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米国FDAが適応外使用に関し、電子媒体情報に基づく問合せに製薬企業がどう対応するかのガイダンスを示す

2012-04-26

(キーワード: ソーシャルメディア情報、適応外使用についての問い合わせ、FDA、企業向けガイダンス)

 ツイッター、フェイスブック、ユーチューブなどの電子媒体情報(ソーシャルメディア)は大きな影響を与える存在となっている。ソーシャルメディアは、大量の情報を一方向に発信するテレビ・新聞などマスメディアと対比して使われる言葉で、誰もが発信できる電子媒体を通じて双方向的に広がる情報伝達手段である。

 米国FDAは患者・市民、医療供給者などがそれらの媒体により適応外使用の情報を得るなどで、製薬企業に問い合わせてきた場合に製薬企業がどのように対応するかについてのドラフトガイダンスを発表(※1)、2011年12月30日の官報(※2)で90日間の期限でパブリックコメントを募集している。

 このドラフトガイダンスは、FDAが新興の電子媒体に関連して生じた疑問や問題に取り組むよう意図した、多角的なガイダンスとして最初のものである。

 以下は、ドラフトガイダンスの要旨である。
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 このドラフトガイダンスは、患者・市民、医療提供者などが、新興メディアなどを通じて知った製品の適応外使用に関し、更なる情報の提供を企業に求めてきた場合に、企業がどう対処するのが望ましいかのFDAの推奨である。

 このガイダンスでは、当該企業から依頼のある(solicited)情報請求の依頼と,当該企業と無関係の(unsolicited)情報請求の依頼との、違いとその実例について論議する。後者は適応外使用が問題となる製品に関係する企業とは全く無関係な個人または団体による請求である。これらの企業が関与しない場合の情報請求は、バイアスのない形で提供されれば販売促進とみなされることはない。情報はオリジナル文献全体を提供するなどに留意すべきであり、サマリー(要旨)やアブストラクト(抄録)はだめである。また、しっかりとした記録を残すことが必要である。

 どんな方法にせよ企業が関与してなされた情報請求依頼は、FDAが承認していない適応に医薬品などを使用することに促進する企業の意図があるとみなされる。

 全米では、企業の関与などではない適応外使用についての情報提供に400の企業が年に100件、計40,000件対応しており、1件4時間、計160,000時間が費やされているとFDAは推定している。また記録の保持には1件0.25時間を要し、計10,000時間が費やされているとFDAは推定している。
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 米国は、インターネットやソーシャルメディアなどによる販売促進そのものは合法である、医師の適応外使用も全く合法であるが製薬企業は適応外使用の宣伝をできない、など日本とは異なる環境下にある。今回のFDAのガイダンスは、ソーシャルメディアに関する包括的な指針ではなく、市民や医療従事者などがソーシャルメディアで得た適応外使用の情報についてさらに詳しい情報提供を製薬企業に求めた時に、製薬企業がどう対処するかという、限定された状況についての指針である。しかし、FDAが新興の電子媒体に関連して生じた問題に取り組むよう意図した指針として最初のものである点に意義がある。

 ツイッターなどソーシャルメディアが大きな影響を与える存在となっているのは日本も変わらない。日本の厚生労働省もそれらが関連する諸問題への対処が必要と考えられ、FDAの動きは参考になる。 (T)
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