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FDAが諮問委員会メンバーの利益相反に関し透明性を増すガイダンス改定案を提示

2010-06-28

(FDA、諮問委員会メンバー、利益相反、透明性改善)

 米国FDA(食品医薬品庁)は、オバマ政権が誕生しFDA首脳が交替後、政策決定の透明性向上に重点的に取り組んでいる。諮問委員会メンバーの企業との金銭的関係については、従来から利益相反ルールが定められている。しかし、その専門性の上で余人をもって替え難い場合には、一定割合の人数以内で利益相反を例外的に適用除外(waiver)して諮問委員とすることが認められている。FDA再生法は、例外的に適用除外した者の割合を年々段階的に少なくするようFDAに求めている。
 2010年4月21日FDAは、例外的に適用除外した者についての透明性を増すガイダンス改定案を発表した(※1-※3)。改定案は60日間のパブリックコメントに付される。以下にその内容、プレスリリースなどを要約する。
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 FDAは、諮問委員会の利益相反に関する例外的に適用除外した者について、情報公開を広げ透明性を増すため、ガイダンス改定案を提示する。改定案は諮問委員会の開催に先立ち、例外的に適用除外した者の利益相反についての情報開示を強める主旨である。とりわけFDAはウエブサイトに金銭関係のある会社や施設の名称を利益相反のタイプなどとともに掲載する。
 FDAは、たとえ利益相反が存在しているとしても、特殊な専門分野での最高権威である専門家の助言を得ることは必要であると考えている。ハンバーグFDA長官は、必要な専門家が利益相反を有していると考えられる場合に、それらの影響を最小にするために、現在のFDAのポリシーとも一致して、3つの段階を列挙している。

1.利益相反の性格についての考察: すべての利益相反が一様ではない。例えば、施設が関連する企業から資金を得ていたとしても、その研究に携わっていない研究者の利益相反は直にその研究に携わっている研究者よりもより問題が少ない。

2.諮問委員会で求められる助言のタイプについての考察: クラス全体に影響するポリシー問題についての助言は、ある特定の医薬品などの販売承認についての助言よりも問題が少ない。

3.人選の正当性についての考察: 利益相反のない同等の専門家がいないかの調査が十分行われたかの説明とその専門家が諮問委員会の求める専門的知識を十分有しているかの説明が必要である。

 なお、FDAは49の委員会で、500名以上のメンバーから助言を得ている。FDAが利益相反を例外的に適用除外できる人数の割合は、法律で上限が定められている。2010年度の場合には諮問委員会に出席する諮問委員全体の13%以下と定められている。最近実際に例外的に適用除外したのは5%以下にととまっている。 (T)