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アクトスをアバンディアに勝るとして選択する根拠は存在しないー米国心臓病学会が見解

2010-04-02

(キーワード:アクトス、アバンディア、心血管リスク、AHA/ACCFサイエンスアドバイザリー)

 米国心臓病学会・心臓病協会は連名で、Circulation誌電子版2010年2月23日号に、「チアゾリジンジオン剤と心血管リスク」についてのサイエンスアドバイザリー(専門学会としての学術的見解アドバイス・推奨)を発表した(※1)。チアゾリジンジオン剤とは「○○グリタゾン」の名前がついた「グリタゾン剤」とも呼ばれる経口糖尿病剤である。肝臓障害で市場撤去されたトログリタゾン(米国商品名レズリン、1997年販売承認、2000年3月市場撤去: 日本商品名ノスカール、1997年販売承認・発売、2000年3月市場撤去)の他、販売中の製品にはロシグリタゾン(米国商品名アバンディア、1999年販売承認、日本未発売)とピオグリタゾン(日米商品名アクトス、米国1999年販売承認。日本1999年発売)がある。以下はその要旨である。
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 このサイエンスアドバイザリーの目的は、現時点で得られている虚血性心疾患を焦点とした「グリタゾン剤と心血管リスク」に関するデータをまとめ、2型糖尿病患者における心循環疾患と他の合併症の重荷を最小化しようと努めている医療従事者に実用的な推奨を行うことにある。
 2007年5月FDA(食品医薬品庁)はチアゾリジンジオン剤のロシグリタゾン(アバンディア)を処方した患者で虚血性心疾患のリスクが増加する懸念について警告した。この警告は、アパンディアが心筋梗塞のリスクを43%増加させ、心循環病による死亡を増加させることを示した大規模なメタアナリシス(複数の質の良いランダム化比較臨床試験の結果を統合して行う総合解析)の結果(ニッセンら、ニューイングランド医学雑誌に掲載)が出されたことを受けてなされたものであった。この結果はとりわけ人を驚かすものであった。なぜなら証拠はないものの、チアゾリジンジオン剤は心循環リスクを減少させるものと広く考えられていたからである。その後アバンディアとアクトスについて多くの報告がなされたが、それらは必ずしも一致した結果を示していない。2007年11月に開催されたFDA諮問委員会の後、FDAはアバンディアを市場撤去させなかったが、アバンディアとアクトスに最も強い警告である黒枠警告を適用した。
 アバンディアとアクトスの心循環リスクについて直接比較したランダム化臨床試験結果は2010年2月現在存在しない。観察研究のデータは一致した結果を示していない。
 ピオグリタゾン(アクトス)が血清脂質に対しロシグリタゾン(アバンディア)よりも好ましい影響を示すとの報告はあるが、それらが心血管リスクの低減につながるかどうかはランダム化比較臨床試験で両者を比較しないと何とも言えない。
 次の推奨を行う。
1. チアゾリジンジオン剤は虚血性心疾患に関する期待をもって用いない方がよい(should not be used)。
2. アクトスをアバンディアに勝るとして選択する根拠は存在しない。
3. チアゾリジンジオン剤は心不全のリスクを増加させる。クラス/犬里Δ歎貔心不全患者ではチアゾリジンジオン剤投与を開始しない方がよい(should not be initiated)。
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 チアゾリジンジオン剤はトリグリタゾン(米国商品名レズリン、日本商品名ノスカール)が2000年に市場撤去された。米国では現在アバンディアとアクトスの2品目が販売されている。アバンディアについては2010年2月米国上院財務委員会が、GSK社はニッセンらのメタアナリシス論文が2007年ニューイングランド医学雑誌に掲載される何年か前にそのリスクに気付いておりながら医師や患者に知らせなかったとの342ページにもわたる報告書をまとめた。またFDA安全性部門の担当者による市場撤去が適当としていた意見書も最近公表された(※2)。米国の状況は、アクトスについてはアバンディアと違うのだとの主張もされており混乱しているが、心臓病関連学会はこのようにエビデンス(根拠)に基づいたサイエンスアドバイザリーを行っている。
 アクトスについて当会議は、2000年10月に「アクトスの販売中止と回収」を求める要望書を厚生省(当時)と武田薬品に(※3)、また2000年12月には公開反論書「アクトスは糖尿病治療薬としては不適です」を武田薬品に提出している(※4)。   (T)