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パキシルによる胎児障害について250万ドルの賠償命令

2009-12-08

(キーワード:SSRI、パキシル、胎児障害)

 Bloomberg press 2009年10月13日号は、パキシルによる胎児障害の訴訟で、ペンシルバニアの民事陪審は、グラクソ・スミスクライン社(GSK社)に対して、250万ドル(約2億2500万円)を賠償するように命じたことを報じた。パキシルによる胎児障害は、米国で既に約600件の訴訟があり、本件はその訴訟の1つである。
 以下、この記事を紹介する。
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 抗うつ薬パキシルによる胎児障害の訴訟において、ペンシルバニアの民事陪審は、GSK社に対して250万ドルの賠償を命じた。これは600件ある訴訟の先行訴訟である。
 Lyam Killer(3歳)は、母親がパキシルを服用したことが原因で、心臓の欠陥を持って生まれた。
 「初めての勝利は大きい、特に、本剤によって、障害が生じたとの陪審の判断を得たことは。」Sean Tracey弁護士(Lyam Killerの代理人)、評決の後、インタビューに答えた。
 陪審は、GSK社がパキシルにより胎児性障害が引き起こされることを知りながら、収益を増加させるため危険性を隠蔽したと初めて認定した。
 そして、本症例では、GSK社が不注意にも、パキシルの危険性について母親の担当医師に警告することを怠ったとし、パキシルが心臓の欠陥の原因であると結論づけた。
 その上で、懲罰的損害賠償はみとめなかったものの、心臓の欠陥に伴う過去と将来の医療費、その他に生ずる障害の損害を120万ドルと見積もり、その倍を超える金額の賠償を認めた。
 GSK社のKevin Colgan氏(スポークスマン)は、電子メールで、「我々は、Lyam Kilkerさんとご家族にはご同情申し上げますが、母親の妊娠中にパキシルに暴露されたことにより障害が生じたとする科学的証拠はない。」と述べ、評決には不服であり控訴する意向を示した。
 パキシル(1992年にアメリカで承認)は、昨年,約9億4200万ドルの売上を上げており,同社の売上の2.1%を占めている。
 GSK社は、パキシルの衝動性亢進に伴う殺人、自殺に関して、アメリカ、カナダ、イギリスで訴えられている。一部の自殺事案では、条件は非公表であるが、和解している。
 2004年、若年者の自殺に関する調査を妨害したとしてニューヨーク州から訴えられていた訴訟で、GSK社が250万ドルを支払うことで和解した。和解条項では、調査結果の公表を求められている。
 2001年、シャイアン(ワイオミング州)の陪審は、GSK社に対し、パキシルを服用後、家族を射殺し、自らも自殺した男の親族に640万ドルを支払うよう評決をした。なお、これは控訴審で和解した。

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 パキシルは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の一種であり、現在抗うつ薬として広く使用されている。日本では2000 年11 月から販売され、2007 年における売上高は国内抗うつ剤市場の中でも最高額(500億円)である。
 しかし、パキシルを妊娠初期に妊婦が服用した場合、胎児に心臓の欠陥をはじめとする先天異常を起こす危険性(心房中隔欠損や心室中隔欠損のリスクが1.5倍増加)がある。また、妊娠20週以降にパキシルなどSSRIを服用した場合、新生児薬物離脱症候群及び新生児遷延性肺高血圧症のリスクが増加するというデータがある。
 そこで当会議は、2009年10月21日、.僖シルの添付文書の「警告」欄に上記に関する記載を求めると同時に、患者がそのリスクを理解できるような患者向けの説明文書の作成及び交付、実態調査等を求める要望書を提出した。
 また、パキシルをはじめとするSSRIについては、離脱反応、自殺企図などが問題となっており、当会議でも,これまでに、いくつもの要望書・意見書を公表し、厚労省や製薬企業に提出してきたところである。(M.N)