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米国FDAが、安全性を吟味中の医薬品リストを早期に公表

2008-10-23

[キーワード:FDA、FDA再生法、有害事象報告システム(AERS)、リスク評価・軽減対策(REMS)、Drug Watch、米国研究製薬工業協会(PhRMA)] 

 2007年9月のFDA再生法成立後、米国では、医薬品の安全性確保に関する施策に、新しい動きがみられる。その概要はすでに本欄で紹介した(※1)が、今回は、その動きのひとつである、因果関係未確定の段階での有害事象早期公表システムを紹介する。
以下は、スクリップ誌2008年9月12日号の記事の要約である。
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 2008年9月5日、米国FDAは特定の安全問題を評価中の医薬品リストについての最初の四半期(2008年1〜3月)の報告書を公表した。リストは、この期間内にFDAの有害事象報告システム(AERS)に報告された事例を検討した結果、安全性の懸念があると特定された20の医薬品をあげている(別表)。これらは、新しい安全性に関するまたは重大なリスクの兆候について公表したもので、FDA再生法により要求されている。FDA当局は、この表に掲載されているものは、安全性が問題になる可能性があるが、その因果関係を確定したのではない、と言明している。もし因果関係確定となれば、添付文書の変更、「リスク評価・軽減対策」(REMS)の実施、あるいは追加データ収集が必要となる。
 この方式は、FDAが数年前に提唱したが実施に至らなかった医薬品監視(“Drug Watch”)システムと同類である。製薬業界はこのDrug Watchに反対し、リスクの本質がまだわかっていない情報を医師や患者に提供することは、医薬品への合理的でない恐怖を作り出し、患者を怯えさせると主張していた。今回のシステムに対しても、米国研究製薬工業協会(PhRMA)は同様の見解を抱いているようである。FDA当局は、この方式が有害事象の報告を促進させることを期待するとともに、リストへの掲載が過剰に解釈されることがないようにとも配慮を示している。  (KK)