注目情報

  1. ホーム
  2. 注目情報

スペインの医師たちが製薬企業の贈り物にNo Gracias(ノー・サンキュー)運動を開始

2008-10-23

[キーワード: スペインの医師たち、製薬企業からの贈り物、ノー・サンキュー(No Gracias)運動]

 米国ニューヨークに本拠を置く、国際的なNPO(特定非営利活動法人)のネットワークである「ノー・フリーランチ(無料の食事提供は辞退)」運動(※1)が、医療従事者に対し、「製薬企業の販促活動に基づくものでなく、科学的な根拠に基づいて医療を実践しよう」と呼び掛けている。米国では、各医科大学の製薬企業との関係について利益相反政策の一覧表を作成したり(※2)、「ノー・フリーランチ運動」に賛同する医師をネット上で検索できるようにする(※3)など、活発な運動が展開されている。スペインの医師たちが、これに呼応してNo Gracias(ノー・サンキュー)運動を始めたことを、英国医師会の発行するBMJ誌2008年9月13日号が伝えている。以下はその要旨である。
--------------------------------------------------------------
 スペインの医師たちが、このほどかれらに特定の製品を処方するよう圧力をかける、製薬企業に抗してNo Gracias運動を開始した。参加した医師の多くは、白衣にNo Graciasバッジをつけ、かれらの目指すものについて患者との対話が進むよう図っている。No Gracias運動の開始以来4か月を経過したが、運動への支持は順調に広がっており、すでに1200人がマニフェスト(宣言書)に署名した(※4)。
 スペインでは、各地方自治体政府がそれぞれ独自の保健政策を決定するが、医師たちは自治体政府が企業のビジネスの権利よりも市民の健康への権利を重視して政策を決めるよう働きかけている。いくつかの自治体が、医師たちの生涯教育を財政的に援助することに同意した。かつては医師たちが卒後に受ける研修費用のほとんど100%を企業が支払っていたのがスペインの現実であった。医師たちはまた、製薬企業に替わって行政が、製薬企業から独立した医薬品情報をかれらに供給するよう求めている。スペインの医療システムは、今まさに変わりつつあるのだ。
 かれらは、米国スタンフォード大学、ペンシルバニア大学の pharma free (製薬会社に影響されない)運動とのディスカッションを開始した。それとともに、専門家の間だけでなく、一般の市民にも運動を広げるのを大事に考えており、議会に対しても、企業が保健システムに及ぼす影響について、国レベルでの対策をとるよう働きかけている。 (T)