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適応外使用の情報提供を企業に認めるFDAのガイダンス案に対するパブリック・シティズンの意見書

2008-06-23

(キーワード: 企業による適応外使用の情報提供、FDAガイダンス、パブリック・シティズン意見書)

 米国では、承認薬の適応外使用について、医師の適応外使用は阻害しないが、企業が適応外使用をPRすることは禁じてきた。FDAは1996年の議会での証言で、製薬企業が適応外使用についての文献等を医師に配布することについて、リスクが利益を上回るとしていたのである。
ところが、1997年「FDA近代化法」でFDAは例外を認めた。ある条件のもとでは医師に対する適応外使用の文献配布を認めるというもので、条件としては、1.あらかじめ文献をFDAに提出して承認を得ること、2. その適応について承認を得る追加販売承認申請をせねばならないこと、の2つが中心であった。これらの条項には期限があり2006年9月に期限が切れていた。
 2008年2月20日、FDAは新たな企業へのガイダンス案を提案した(※1、※2)。このガイダンス案では、企業による適応外使用に関する情報提供を認めるための条件が緩和され、「FDA近代化法」が規定していた上記の2つの条件が求められていないのである。薬害が続き米国民が安全性強化の取り組みをFDAに求めている中で、それに逆行する規制緩和の提案である。
この問題について、米国の医薬品監視団体パブリック・シティズンのピーター・ルーリー医師とシドニー・ウルフ医師は、パブリックコメントの募集に応じて、2008年4月21日意見書を提出した。意見書(※3)では、FDAの立場がここ10年間に大きく転換し、リスクが増していることを厳しく批判し、条件を緩和することに反対している。そして、ガイダンスを強化すること、とりわけ配布の60日前までに文献等をFDAに提出して承認を得ること、6か月以内に適応の追加申請を行うことの2点は、欠かせない条件であると指摘している。  (T)