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「米国での喘息死の5人に4人はサルメテロールが原因」とメタ解析論文が推定

2006-08-02

(キーワード:長時間作用型β作動剤LABA、サルメテロール(セレベント)、
ホルモテロール(アトック)、喘息悪化、喘息関連死亡増加、米国内科アナル
ズ誌、メタ解析論文、市場撤去要望)

米国内科アナルズ誌(オンライン版2006年6月6日)は、LABA(長時間作用型β作動剤)が入院、生命を脅かす喘息を悪化させ、喘息関連死亡を増加させたとのメタ解析論文を掲載した。米国FDAは、黒枠警告でLABAを第一選択薬でなく二次的使用に限定するよう記載することで対処したいようだが、著者らは従来の黒枠警告が医師の処方習慣を変えていないと指摘し、生命を脅かす喘息の悪化や喘息関連死亡を減らすためには、市場から撤去されるべきであると提起している。論文の要約を紹介する。
 
   LABAによる重篤な、生命を脅かす、致死的な喘息悪化を増加させる危険
を評価する目的で、33,826の喘息患者における、プラシーボを対照とした
19のランダム化比較試験の集積データを解析した。集積結果によると、
LABAは入院治療を要する重篤な喘息悪化(オッズ比2.6、95%信頼区間
1.6-4.3)、生命を脅かす喘息悪化(オッズ比1.8、95%信頼区間1.1-2.9)、
喘息関連死亡(オッズ比3.5、95%信頼区間1.3-9.3)を増加した。入院は
サルメテロール(セレベント)とホルモテロール(アトック)で有意に増加し、
小児および成人においても同様に増加した。入院数の絶対増加は0.7%で
あり、集積データの危険率は0.07%(95%信頼区間0.01%-0.1%)であった。

LABAによる喘息関連死亡の増加は6ヶ月で0.06%〜0.07%と推定され、
これは、1000例にLABAが使用されると1年に約1人の過剰死亡を引
き起こすことを示している。サルメテロールは、世界的に最も多く処方
される薬剤のひとつである。米国においては2004年に350万人の成人
に処方されたと推定され、1年間の喘息関連死亡5000人のうち、4000
人がサルメテロールによる過剰死亡であると推定される。

ニュージーランドにおける喘息死亡率が、強力なβ作動剤(短時間作動
型)フェノテロール(ベロテック)の厳格な使用制限とステロイド吸入
剤の使用の広がりによって激減したように、LABAが米国市場から撤
去されれば、喘息死亡率を顕著に減らすことができるであろう。
 
この論文で検討されている長時間作用型β作動剤(LABA)サルメテロールとホルモテロールは、日本でも販売され広く用いられている。

 サルメテロール:
  セレベント25ロタディスク、セレベント50ロタディスク、
  セレベント50ディスカス(グラクソ・スミスクライン)
 ホルモテロール:
  アトック錠、アトックドライシロップ (アステラス製薬)

当薬害オンブズパースン会議はセレベントの危険性を指摘し、現在承認申請中のセレタイド(サルメテロールとフルチカゾンの配合剤:両成分とも危険な製剤)について承認しないよう要望書を提出している(※1)。
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