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軽度持続性喘息のステロイド吸入薬治療は、連用は不要

2005-09-26

(キーワード:軽度持続性喘息、ステロイド吸入薬、連用、頓用)
 
 軽度持続性喘息(*)に対し、米国立衛生研究所の治療ガイドラインでは、ステロイド吸入薬の連日使用(連用)を推奨している。しかし、米国カリフォルニア大学のBoushey教授らは、ステロイド吸入薬を連日使用(連用)した群と、症状悪化時に間欠的に使用(頓用)した群との間に、喘息の悪化した割合などの差はみられなかったと報告した(ニューイングランド医学誌352:1519-28, 2005)。この結果は、ガイドラインの見直しの際考慮される予定である(メディカル・トリビューン2005年7月14日号)。

 Boushey教授らの試験はIMPACTと命名され、成人喘息患者225人を対象とした1年間の二重目隠し比較試験である。この試験の結果、ステロイド吸入薬(ブデゾニド)連用群と、頓用使用群(実際の使用日は、連用群では、1人の患者で平均年間47.8週―年52週に対し92%―であったのに対し、頓用群では、平均して0.48週で、連用群の100分の1)との間で、肺機能の変化、症状の総合的頻度、重度発作回数、QOLスコアに差は見られなかった。この結果から、同教授は、連用の推奨は行き過ぎであるとしている。今回の結果の確認のための大規模試験が急がれる。

 ブデゾニドは、日本では「パルミコート」の商品名でアストラゼネカ社から2002年1月以降販売されているが、その添付文書には、「症状の緩解がみられた場合は、治療上必要最小限の用量を投与すること」と記されている。

(*)「軽度持続性喘息」は、今回の論文では、週に2日以上ベータ作動薬を用いて自己治療する必要があるが毎日ではない、喘息が原因となった夜間の目覚めが1か月に2回以上あるが毎週ではない、家庭用モニター装置のピークフローメーターで測定した最大流量が20-30%の日内変動を示す、という重症度の喘息を指している。
(K.K)

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