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「『サリドマイド製剤安全管理手順』及び 『レブラミド・ポマリスト適正管理手順』の 一部改訂に係る意見(パブリックコメント)」を提出

2018-06-10

薬害オンブズパースン会議は、厚生労働省のパブコメ募集に応じ、2018年6月9日、「『サリドマイド製剤安全管理手順』及び『レブラミド・ポマリスト適正管理手順』の一部改訂に係る意見」を提出いたしました。

多発性骨髄腫の治療薬であるサリドマイド並びにこれと類似の化学構造を有するレナリドミド及びポマリドミド(サリドマイド製剤)には強い催奇形性があることから、胎児への薬剤暴露を防止するため、管理手順として「TERMS(サリドマイド製剤安全管理手順)」及び「RevMate(レブラミド・ポマリスト適正管理手順)」が定められています。

この管理手順について、厚生労働省から以下のような改訂案が示されました。主な改訂内容は、以下の3点です。
①薬剤管理者の要件を具体化すること
②残薬の回収が困難な場合で、第三者曝露のリスクが見込まれない場合には、残薬の回収を必須としないとすること
③妊娠の可能性のない「女性患者B」の定期確認票を廃止すること

サリドマイド製剤の催奇形性のもたらす被害は極めて深刻です。ひとたび胎児暴露が生じれば、胎児の生命が奪われ、生まれた場合でも被害児はもとより、その親である患者や家族に筆舌に尽くしがたい苦しみを与え、その人生を全く異なったものとしてしまうことは、サリドマイド事件の被害児とその家族が歩んだ苦難の道のりが端的に示しています。
特に重要な点は、サリドマイド製剤がもたらす障害は、患者本人ではなく、胎児や生まれてくる子という第三者に生じ、管理手順の緩和によって危険性が高まる場合に、それを正当化する根拠を患者の「自己決定権」や「自己責任」に求めることはできないということです。

そこで、安全管理手順の設計においては、困難な疾患である多発性骨髄腫と闘う患者の治療アクセスを阻害しないようにしつつ、万が一にも、第三者たる胎児に暴露が起きないよう、まだ見ぬ子のために、国、企業、医療機関、患者等、関係者全員が協力して最善を尽くすという姿勢で臨むことが必要で、煩雑さを理由に安易に手順を緩和すべきではありません。

そのため、当会議としては、以下の3点を内容とする意見を提出しました。
①残薬の回収に例外を設ける改訂案に反対する。
②女性患者Bについて定期確認票を廃止する改訂案に反対する。
③具体化された薬剤管理者の3要件は、全て満たさなければならないことを明記すべきである。また、全患者に対する薬剤管理者の設置義務付けを復活すべきである。

詳細は以下の意見書をご覧ください。