調査・検討対象

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エンブレル

1 エンブレルとは

一般名 エタネルセプト(遺伝子組換え)製剤
商品名 エンブレル
薬効分類 完全ヒト型可溶性TNFα/LTαレセプター製剤
適応 関節リウマチ。使用上の注意として、「過去の治療において、非ステロイド性抗炎症剤及び他の抗リウマチ薬等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与すること」とされている。
薬価収載 2005年3月
特徴 抗TNF-α阻害薬(リウマチ性関節炎の部位の多くに存在するTNF-αに結合することでTNF-αが関節の細胞に作用して組織破壊を起こすことを阻害する)。細胞性免疫反応を調整するTNFの生理活性を抑制するので、感染症に対する宿主側防御に影響を及ぼすことがある。そのため本剤投与に際しては、十分な観察を行い感染症の発現や増悪に注意する必要がある。

2 取り上げた経緯

  1. (1) 利益相反問題の提起から
    エンブレルに付された承認条件の一つである製造販売後全例調査に関し、実施主体であるワイス株式会社に対して第三者的見地から助言をなすため、厚生労働省の要請に基づき日本リウマチ学会抗リウマチ薬市販後調査特別委員会(PMS委員会)が設置された。
    このワイス社とPMS委員会との関係につき、2007年アメリカ合衆国ボストン市で開催されたアメリカリウマチ学会年次学術集会において、アメリカリウマチ学会の1会員から利益相反の疑義が提起され、同学会から日本リウマチ学会宛に問い合わせがなされたとの報告があったことから、利益相反問題について調査する必要性が生じた。
  2. (2) 外部委託調査の結果から
    エンブレルの有効性と安全性について医療品・治療研究会(TIP)及び医薬ビジランス研究所に対し調査を委託したところ、エンブレルはその有効性と安全性だけでなく、日本での承認条件に関連した問題点があることなどが明らかとなった。

3 何が問題か

  1. (1) エンブレル25咾汎10咾箸隆屬埜果に大差はない一方、害作用は25咾諒が10咾犯羈咾靴突意に大きいと考えられること
    エンブレル10喟什泙汎25喟什泙箸隆屬埜果に差はほとんどなく、リウマチ患者のTNF-α過剰状態の解消に必要なエンブレルは、多くの人では1回10咾能淑である。過剰なエンブレルは、効果が増すことなく害のみを生じることになるため、有効必要最小限の原則から考えると、現在日本で承認されている25喟什泙和燭のリウマチ患者にとって過量である(10喟什泙派要かつ十分である)。
  2. (2) 承認条件の一つである全例調査の信頼性に疑問が残ること
    全例調査は、「SMR1.46は通常の間接リウマチの死亡率並み」と報告しているが、対象患者の状態が比較対照群より良好と考えられること、中間報告以後のSMRは1.78から2.01の間にあると考えられ、中間報告時(SMR1.30)に比較して著しく高いと推定されること等の問題点があり、信頼性に疑問がある。
    1. ※SMR(standardized mortality ratio)=標準化死亡比。ある基準となる集団の死亡率を100 とし、比較する対象の死亡率がどの程度の大きさであるかを示したもので、集団間や疾病間の比較をする際に用いられる。
  3. (3) 承認条件の審議経過が杜撰であること
    2007年4月27日、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において、エンブレルの全例調査の解除についての審議が行われたが、これよりも前の時点において、PMS委員会が、全例調査の対象者7,091例(中間報告)中の総死亡例33名の内、エンブレルとの因果関係を否定できない死亡症例が21例あることを確認していたこと等から、審議においては、エンブレルの有効性と安全性、とりわけ死亡の影響について、より慎重な審議が求められていた。
    しかしながら、実際の審議では、エンブレルの効果及び全例調査結果について杜撰な審議しかなされず、ことに死亡例について全く議論されないまま、全例調査が解除されたことは大きな問題である。

4 行動指針

  1. (1) 本剤の有効性と安全性を調査し、安全な使用方法等を提起する。
  2. (2) ワイス社及びPMS委員会に対し、全例調査の問題点を指摘し、これを踏まえた調査結果の再検討と結果の公開を求める。
  3. (3) 本剤の危険性に鑑み、大規模市販調査の現状を調査し、不十分ないし不足な点があればこれを指摘して改善を求める。

5 具体的な行動と結果

2009年7月1日、厚生労働大臣、厚生労働省医療食品局安全対策課長、ワイス株式会社及び日本リウマチ学会に対し、「エンブレル(エタネルセプト)に関する要望書」を提出した。
同年10月9日、日本リウマチ学会から回答書が送付される。同書では、当会が求めた日本リウマチ学会による全数調査の再検討と検討結果の公開の必要性はなく、当会の要望に応じる必要性はないとの回答であった。

6 取り組みの問題点・今後の課題

今後も使用は拡大していく可能性があるため、副作用情報等が報告された場合には、速やかに市民、医療現場に対して情報提供し、安全な使用を促す必要がある。

トピックス

  • 薬害オンブズパースン会議
  • タイアップグループ
2009-07-01
エンブレル(エタネルセプト)に関する要望書提出