調査・検討対象

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患者向け説明文書について

1 患者向け説明文書とは

医薬品使用に際しては、その効果・副作用・使用法等に関する情報が不可欠である。現在、わが国では、薬局等で販売する一般用医薬品については、そうした情報が印刷されて封入されている。しかし、医療機関で処方される医療用医薬品について、厚生労働省の指示により製薬企業が作成しているのは、2005年以前は医療従事者向けのみであり、患者向けの説明文書は作成されていなかった。ここで取り上げるのは、そうした製薬企業が作成する患者向けの医薬品説明文書のことである。

2 取り上げた経緯

医療用医薬品の患者向け説明文書については、本会も副作用早期発見・防止等の上で重要と考え、2001年5月30日、2002年4月23日と、2度にわたり、その作成を製薬企業に義務づけることを要望してきたが、具体化されなかった。2005年5月に当会メンバーの一人がステロイド吸入薬による副作用を体験したが、その情報を医療機関及び薬局から伝えられず、対処が遅れるという経験をした。このため、この問題は本会としても3たび取り上げることにした。

3 何が問題か

情報を収集したところ、2005年6月30日付けで、厚生労働省医薬食品局長から日本製薬団体連合会会長宛に「『患者向医薬品ガイドの作成要領』について」という通知が出されていることが判明した。ところが、この通知は要旨以下のような内容であった。

  1. (1) 作成の対象となる医薬品は、添付文書に警告欄が設けられているなど、特に患者へ注意を喚起すべき適正使用に関する情報等を有する医薬品。
  2. (2) 提供方法は、医療関係者を含む一般国民が直接インターネットを介してその情報を入手し活用することを想定。
    この内容からは、本会が2度にわたり要望してきた「製薬企業と国の責任で、全ての医療用医薬品の患者向け情報を処方時に紙で渡し、その場で説明する」という方式ではないことになる。特に(2)は、インターネットを使用できる人に限定されるので、高齢者・障害のある人、入院の場合などは困難または不可能である。

4 基本的な行動方針

以上のことから、全ての医療用医薬品を対象に、インターネットだけでなく、印刷した文書を、新たな処方・調剤の都度、患者の求めの有無にかかわらず、医療機関を通じて患者に交付し説明すべきと考え、そうした内容の要望書を出すこととした。

5 具体的な行動とその結果

2005年11月28日付けで、厚生労働大臣と日本製薬団体連合会会長に宛てて、前記のような内容の「医療用医薬品の患者向け説明文書作成に関する要望」を文書で提出した。要望書の最後には、「EU諸国ではすでに1992年3月指令92/27/EECにより医療用医薬品の患者用添付文書作成が義務づけられ、1993年1月に発効していること」を指摘し、「同様の事を日本でも行なうべき」と記した。
厚生労働省と日本製薬団体連合会は、この要望には対応せず、2006年以降、前記『患者向医薬品ガイド』を作成し、医薬品医療機器総合機構のHPの「患者向医薬品ガイドくすりのしおり」http://www.info.pmda.go.jp/ksearch/html/menu_tenpu_base.htmlへの掲載を続けている。掲載品目は、2007年3月時点で1、100品目(商品名別)になったという(医薬品・医療機器等安全性情報No. 235、2007年4月26日)。

6 今後の課題

今後は、「患者向医薬品ガイド」の内容や、患者側からのアクセスの問題点を解明するとともに、当会の要望を実現させるための条件について検討していく必要がある。

トピックス

  • 薬害オンブズパースン会議
  • タイアップグループ
2005-11-28
医療用医薬品の患者向け説明文書に関する要望書提出
2000-07-11
「トリルダンの患者向け添付文書案」提出

機関紙

該当する情報はありません。