調査・検討対象

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ICH E2E=医薬品安全性監視の計画(案)への意見

1 ICHとは

ICH(日米EU医薬品規制調和国際会議)は、日米欧3極の新医薬品の承認審査関連規制の調和を図ることで、データの国際的な相互受け入れを実現し、これによって新薬の承認審査を迅速化や研究開発を促進しようという目的で、1990年に発足した会議である。会議は、日・米・EUの医薬品規制当局および製薬産業の代表者によって主催される。

2 取り上げた経過

今回その「医薬品安全性監視の計画(E2E)」の部分に関する案が作成されたことを受けて、医薬食品局審査管理課から平成16年4月27日付でバブリック・コメントが求められたので、その問題点を会議で検討し、平成16年7月26日付で意見書を提出した。

3 何が問題か、

  1. (1) ICH会議当事者が製薬企業および規制当局のであり、実際の診療に関わる臨床現場や患者からの意見が直接反映される仕組みになっていないこと。
  2. (2) 事実上の条約としての効力をもつICH合意の法的位置づけに疑問がある。ICH合意については、会議での審議その他の民主的な手続きを欠いて成立しており、これは事柄の専門技術的性格の故に不要と説明されてきた。しかし、これらの合意に則って実施される臨床試験などは患者1人1人の権利・義務・生命倫理に関わる重要な内容を含んでおり、これらの当事者を抜きにまとめられた案は、たとえ事後的にパブリックコメントを求めるという手続きをとったとしても問題がある。
  3. (3) 計画(案)自体の問題
    臨床試験段階における条件と市販後の日常診療現場における条件とは大きく乖離しており、そのギャップをいかに埋めるかが安全性監視の最も重要な点である。
    承認の根拠となった原資料が公表されていない現状において、その違いを確かめる術はない。医師や患者が疑問をいだいたとき、ネガティブデータを含めて過去の全ての情報にアクセスすることができなければ、安全性監視は絵に描いた餅にすぎない。
    1. ① 情報の透明性とそれに対する評価や修正意見を示しうる独立かつ公正なシステムの構築が必要である。
    2. ② 精報伝達の迅速性が必要である。計画(案)1には、特定の課題/重要な不足情報が判明した場合のために、監視計画の構成、監視の方法などが規定されているが、過去の薬害事例からも分かるように、規定は存在してもその対応に遅れを生じる場合があることを忘れてはならない。

4 基本的な行動と今後の課題

以上のような内容の意見書を提出した。製薬産業と規制当局だけで作成したICHには他にも多くの疑問点があり、さらに機会あるごとに問題点を指摘することが重要。

トピックス

  • 薬害オンブズパースン会議
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2004-07-26
「ICHE2E:医薬品安全性監視の計画(案)について」のパブリックコメント提出

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