調査・検討対象

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ハルシオン(トリアゾラム)

1 ハルシオンとは

商品名 ハルシオン(トリアゾラム製剤はハルシオンの他に後発品11商品がある)
企業名 ファルマシア・アップジョン社(2003年にファイザー株式会社に吸収合併)
承認 1982年11月
適応 1.不眠症(一回、0.25mg、高度な不眠症には0.5mg) 2.麻酔前投薬

2 ハルシオンをめぐる経緯

1975年6月 日本の臨床試験開始
1976年5月 米でアップジョン社、新薬の申請
1977年11月 オランダがハルシオン1mg使用承認
1978年9月 英が臨床使用を承認
1979年7月 オランダの医師C.Van Der Kroefが"記憶喪失"を報告
1979年8月 オランダは販売を中止
1982年11月 日、米がハルシオン0.25、0.5mgを承認
1983年4月 アップジョン社は0.125mg錠を製造
1987年9月 厚生省が添付文書に「警告」を記述
1988年3月 アップジョン社は0. 5mg錠の製造中止
1991年2月 protocol 321の虚偽が発覚、 protocol 6415の捏造発覚
1991年8月 ニューズウイーク誌上に、「ハルシオンが銃事件に関連」の記事
1991年10月 BBC放送「ハルシオンの悪夢」放映。英はハルシオン販売停止6ヶ月停止
1991年11月 TIP誌は医療者に「睡眠剤トリアゾラム(ハルシオン)の安全性」について注意を喚起
1991年12月 FDA, アップジョン社の不正に対する調査を開始
1992年3月 厚生省は医薬品副作用情報113号にて、「欧米の動向に鑑み安全性の徹底」のため、「使用上の注意」の改訂
1992年7月 Public Citizen が承認取り消しの要請
1997年12月 米国IOMが「有効性と安全性」に関する報告書を発表
2001年12月 「くすりのチェックは命のチェック」誌、睡眠剤の使用条件として情報提供の必要性を指摘。
2007年3月 FDAは、重篤なアレルギー反応を起こすことおよび夢遊状態で行動することがあることを示すよう米国のメーカーにラベル改訂を勧告
2007年6月 ファイザーが添付文書を改訂し夢遊症状など睡眠随伴症状のあることを「警告」に追加

3 当会議における取り扱い経過

浜六郎医師が朝日新聞コラムで(2001年6月)「ハルシオン」を取り上げた際に大きな反響があり、それをきっかけに当会議も検討対象として取り組みを開始。国内の臨床報告例や国内外の取り扱いについて調査を始めた。

4 ハルシオンの何が問題なのか

  1. (1) 有効性
    半減期が三時間と短いために、夜間中途覚醒し、逆に眠れなくなる反跳性不眠となる。
  2. (2) 安全性
    記憶障害がおこる。日中の血中濃度の低下によるイライラや不安を、患者は自分の病による症状ととらえて短期間に服用頻度が高まり、その量も増大し精神的、身体的依存症になる。不安、錯乱状態、興奮、抑うつ状態の悪化を生ずる。
  3. (3) 隠された副作用報告と捏造データ
    アップジョン社の承認申請用データーには捏造、虚偽の表示があることがわかり、欧米諸国では販売停止や臨床データーの見直し作業が行われた。これに対して旧厚生省は特別な対応をとらなかった。
  4. (4) 日本の使用実態
    ハルシオンの世界消費の60%(75億円/2001年)が日本市場であると推定されているように、我が国ではあまりにも安易に使われるという実態がある。
  5. (5) 患者用説明書には必要な情報が書かれてない
    米アップジョン社による米国人向けの患者用説明書には、ハルシオンが他のベンゾジアゼピンより記憶障害がおこりやすいことなどが書かれているが、日本の患者向け説明書ではこうした副作用の記述がない。

5 基本的な行動方針

問題のある薬剤を安易に長期使用している可能性があるが、日常的な悩みによる不安、不眠には、睡眠薬選択を第一とすべきではない。ハルシオンの副作用について医療者と患者に正確に情報提供する必要がある。

6 具体的な行動

ファルマシア・アップジョン社に対して02年8月27日、「患者用説明書を見直し、添付文書に記載されている警告や使用上の注意が伝わるよう書き改め周知徹底すること」を要望書として提出。また、同時に面談も希望したが、文書で回答したい旨の回答を受け(10月3日)、その結果の回答書は「現行の説明書は十分にその目的を果たしており、現時点では記載内容を変更する必要はないとの結論に達した」というものであった(10月18日)。

7 現在の課題

2005年から医薬品医療器機綜合機構(PMDA)は、一部の医薬品について重篤な副作用の早期発見のために「患者向け医薬品ガイド」として「患者向け説明書」に相当するものをメーカーにつくらせネット上で提供するようになった。ハルシオンについては2006年に、患者向け説明の必要度が高い薬として「患者向け医薬品ガイド」が作られた。添付文書に準じた内容がやさしく書かれており、当会議が要望したものに近いものになっている(2008年5月現在)。しかし一方で、医師や薬剤師の現場にとどけられるハルシオンのパッケージには、従来と同じ患者向け説明書が入れられている。これでは「患者向け説明書」のダブルスタンダードということになる。「患者向け医薬品ガイド」を患者が必ず読めるようにすることが、安全に薬を使用する方法であろう。

トピックス

  • 薬害オンブズパースン会議
  • タイアップグループ
2002-08-27
「ハルシオンの患者用説明書についての要望書」提出