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プラザキサ

1 プラザキサとは

一般名 ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩
商品名 プラザキサカプセル75mg,110mg
薬価収載 2011年3月
企業名 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
適応症 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
特 徴 脳卒中や全身性塞栓症を予防する抗血液凝固療法として従来用いられてきたワルファリン(ビタミンK拮抗剤)が慎重な血液凝固モニタリングを必要としていたのに対し、トロンビンを直接阻害する経口トロンビン阻害剤であり「面倒な血液凝固モニタリングがいらない」として販売されたのが本剤である。

2 取り上げた経緯

プラザキサは、米国で2010年10月に販売開始後、出血事故が相次ぎ、年に542人もの死亡例がFDAに報告され、訴訟に発展した(2014年6月和解)。我が国においても、2011年3月の販売開始後、肺胞出血、鼻出血、喀血、貧血、血尿などの出血症状を示す副作用がPMDAに報告されたほか、重篤な出血による死亡例が5例相次ぎ、2011年8月にブルーレターが発出された。その後もPMDAの「副作用が疑われる症例報告に関する情報」においてプラザキサによる重篤な出血や死亡例が持続して発現していることが確認できる。
プラザキサは血液凝固モニタリングを不要とする薬剤として約50年ぶりに発売された新薬であるが、プラザキサにモニタリングは必要ないとする主張に対しては、このような出血リスクに鑑み、プラザキサ販売開始直後から専門家による強い批判が出されていた。
他方で、日本においては、日本循環器学会がプラザキサの販売直後の2011年8月に、「今まさに大きな転換期を迎えた」として「心房細動における抗血栓療法に関する緊急ステートメント」を発表し、プラザキサを強く推奨している。
そこで、同剤の有効性・安全性を検討する必要があると考え、取り上げることとした。

3 何が問題か

  1. (1) 血液凝固モニタリングを不要としていること
    プラザキサの総血中濃度は個人差が極めて大きく、血中濃度が最大値を示している人は最低値の人の30倍あるいは40倍に達しており、いつ出血してもおかしくない状況になっている。したがって、血中濃度のモニタリングが不可欠である。
    日本に先立ち承認された欧州でも出血リスクが危惧されており、ヘモクロットテストによる血中濃度測定が可能である旨が添付文書に記載された。また、米国ベーリンガーインゲルハイム(BI)社は出血事故を防ぐ測定法や指標を把握していたことが訴訟時の提出資料で明らかになっている。我が国におけるPMDAの審査報告書でも、正確に血液凝固機能をモニタリングできないことはワルファリンに対するデメリットである旨記載されているにもかかわらず、そのままプラザキサの承認に至っている。
  2. (2) ワルファリンとの比較臨床試験(RE-LY試験)の結果に問題があること
    プラザキサは、心房細動を有する18,113例を対象に行われたワルファリンとの比較臨床試験(RE-LY試験)に基づき承認されたが、この比較臨床試験は、プラザキサとワルファリンの比較は判定が遮蔽されただけのいわゆるPROBE法による非劣性試験であり(プラザキサの2用量間は遮蔽下)、種々のバイアスがかかっていることが疑われる。例えば、ワルファリン群の頭蓋内出血の頻度が0.76%と従来の多くの報告(0.2-0.4%)に比べ異常に高く、またワルファリン治療の質の評価に用いられる指標であるTTRが実施施設で大きくばらついているなどが指摘されており、対照群のデータが信頼できるものではない。これらの点をはじめとして、臨床試験の問題点を種々指摘することができ、プラザキサの有効性及び安全性が臨床試験によって明らかになっているとは言い難い。
  3. (3) 中和剤の不存在
    そもそも抗血液凝固療法自体が出血リスクを伴うものであるから、危機的状況に陥った場合のために中和剤が不可欠であるところ、プラザキサには中和剤が存在しない(2016年3月2日当時。なお、ワルファリンには確立した中和剤が存在する。)。
  4. (4) ワルファリンへの切り替え方法について添付文書への記載がないこと
    本剤の添付文書には、使用上の注意として、ワルファリンから本剤へ切り替える際の切り替え方法が記載されているが、本剤からワルファリンへの切り替え方法については記載がない。

4 基本的な行動指針

プラザキサは、前述の通り、重篤な出血による死亡例5例が相次ぎ、2011年8月にブルーレターが出されているが、日本BI社は、これらはモニタリングの有無の問題ではなく、適正使用がなされなかった問題であるとしている。しかしながら、米国BI社においては既に出血事故を防ぐための指標が検討されており、日本においても同様の検討がなされるべき状況にあった。
プラザキサの臨床試験(RE-LY試験)には3で述べた問題点があり、モニタリングを行わない使用では高い出血リスクがあるため、厚生労働大臣に対し、プラザキサの販売の一時停止及び回収を内容とする緊急命令の発動を求めると共に、日本BI社に対し、プラザキサの販売を一時停止すること及び販売再開にあたり.皀縫織螢鵐伊,粒領、RE-LY試験の結果の全面開示、ワルファリンとの二重遮蔽試験による比較臨床試験の実施、っ耋尊泙両鞠Ъ萋澄↓ヅ塞嬖現颪悗離廛薀競サからワルファリンへの切り替え方法明示の各点を実施することを求める「プラザキサ(ダビガトラン)に関する意見書」を2016年3月2日付で厚生労働大臣及び日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社宛に提出した。

5 今後の対応

ダビガトラン抗凝固作用の中和を効能・効果とするプリズバインド静注液2.5g(日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社)が2016年9月に承認され、上記い砲弔い討麓存修気譴燭、今後その使用状況等を見守る必要がある。また、ぐ奮阿療世砲弔い討麓存修気譴討らず、引き続き注視していく必要がある。

トピックス

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2016-03-03
「プラザキサ(ダビガトラン)に関する意見書」を提出