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「政策対話」非公開問題

1 「政策対話」とは

「政策対話」とは、厚生労働省が、2011年12月14日及び2012年5月10日に実施した「医薬品・医療機器産業発展のための政策対話」(以下、「政策対話」という。)という会議のことである。
政策対話の参加メンバーは、行政(文部科学省、厚生労働省、経済産業省、内閣府)、産業界(日・米・欧の製薬業界団体、医療機器業界団体)の代表により構成され、「我が国における医薬品・医療機器産業の発展のため、産業界と行政のトップが政策対話の場を持つことにより、適時、産業界及び行政が抱える課題を共有すること」を目的としているとされている。実際に、各省の国務大臣(国家戦略担当大臣・内閣府特命担当大臣(科学技術)、文部科学大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣)と日本・欧米の医薬品・医療機器の業界団体の会長をはじめとする幹部が構成員となっている。議題としても、2012年5月10日の政策対話では、「医療イノベーション5ヵ年戦略について」が議題となっていた。

2 取り上げた経緯

この「政策対話」は非公開とされており。その理由は、「率直な意見交換の場とさせていただきたい」ということであった。
そこで、当会議は、このような対応が許されるのか、今後の対応について検討することとした。

3 何が問題か

  1. (1) 政策形成過程の公開の必要性
    現在では、政策に対する国民の信頼確保の見地からも政策形成過程の透明化が求められている。国民の生命・健康に関わる医療に関しては尚更であろう。
    「政策対話」が実施された後の2012年6月6日には、医療関連分野を成長産業と位置付け、革新的な医薬品や医療機器の開発・実用化を推進するためとして、「医療イノベーション5ヵ年戦略」がまとめられた。
    この成果を享受する国民にとっては重大な関心事であり、広く議論が公開される必要性が高い。しかも、医療関連分野は、常に生命、健康への危険性を内包している。そのため、国民による安全性の観点からの監視が必要である。これを軽視したために、生命・健康への深刻な被害が生じれば、却って、医療関連分野の改革・成長にもストップをかけてしまうことにもなりかねない。
    したがって、安全性の観点で監視をする上でも、広く議論が公開される必要性が高い。
  2. (2) 非公開理由の不当性
    審議会等の公開・非公開については、厚生労働省の「審議会等会合の公開に関する指針」「審議会等会合の公開に関する考え方」に定められている。
    厚生労働省が非公開とする理由は、公開の例外とされる場合の「特定の個人等にかかわる専門的事項を審議するため、公開すると外部からの圧力や干渉等の影響を受けること等により、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるとともに、委員の適切な選考が困難となるおそれがある。」に関連するものと思われる。
    しかし、この条項は、単なる「率直な意見交換」ではなく、「特定の個人等にかかわる専門的事項を審議するため、公開すると外部からの圧力や干渉等の影響を受けること等」と限定しているが、政策対話は、「産業界及び行政が抱える課題を共有すること」を目的として、業界や行政全般の課題を対象としているものであり、特定の個人等に関わる専門的事項を審議するものではない。しかも、「産業界と行政のトップが政策対話の場を持つ」として人選も各省の国務大臣と日本・欧米の医薬品・医療機器の業界団体の会長をはじめとする幹部と特定されているのであるから、「委員の適切な選考が困難となるおそれ」もない。
    したがって、「率直な意見交換の場」としたいというのは、非公開の理由には到底なり得ない。

4 具体的な行動

以上のような問題点から、まず、厚生労働省に対して、「政策対話」の議事録、当日配付資料の情報公開請求を実施した。これに対しては、2012年10月5日付で開示決定がなされた。
今後は、この内容を検討した上で、非公開の問題性についてなどの意見を明らかにしていく予定である。

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