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医薬品リスク管理計画(RMP)ガイダンス(案)

1 医薬品リスク管理計画(RMP)とは

厚生労働省(医薬食品局安全対策課、審査管理課)は、2011年4月20日、「医薬品安全性監視の計画について」(ICH E2Eガイドライン:平成17年9月16日付け薬食審査発第0916001号・薬食安発第091601号厚生労働省医薬食品局審査管理課長・安全対策課長通知。以下「ICH E2Eガイドライン」という。)に従って、承認審査時や製造販売後に、安全性検討事項(Safety Specification)として示された「重要な特定されたリスク」、「重要な潜在的リスク」及び「重要な不足情報」への対応のため、製造販売業者における策定される「医薬品安全性監視計画」及びリスクを低減するための「リスク最小化策」の計画に関する標準的な考え方を示した。これらの計画全体を「医薬品リスク管理計画(RMP:Risk Management Plan)」という。

厚労省は、このRMPの案を示したが、厚労省の案は、次の2要素で構成されている。
  1.  岼緻品安全監視計画」(通常は自発報告や文献調査、追加は市販直後調査や使用成績調査、特定使用成績調査、製造販売後臨床試験があると例示されている)
  2. ▲螢好最小化策(通常は添付文書や使用上の注意の改訂、追加は市販直後調査による情報提供、患者向医薬品ガイドによる情報提供、教育プログラム、アクセス制限、添付文書改訂があると例示されている)

そして、同ガイダンス案は、RMPに関する標準的な考え方を示し、審査時及び製造販売後において、主として安全性に関する追加的な調査・試験の計画立案やリスク最小化のための追加的な措置を検討する際の指針として活用するものであると位置づけられている。また、製造販売業者に対し、承認審査時および製造販売後において、常に安全性検討事項として安全性課題を特定し、これを起点としたRMPを策定して、「製造販売後調査等基本計画書」および「実施計画書」に記載して厚生労働省に提出することを求めている。

2 取り上げた経緯

上記のとおり、厚生労働省(医薬食品局安全対策課、審査管理課)は、2011年4月20日にRMPガイダンスを案として示すと共に、期限を同年10月31日として、同案に対する意見(パブリックコメント)を公募した。
厚生労働省の示したRMPガイダンス(案)には、次に述べる問題点があることから、適正に改正されるよう、当会議としても意見を述べる必要があると考えた。

3 何が問題か

  1. (1) 本ガイダンス案は、2010年4月に公表された「薬害肝炎の検証及び再発防止に関する薬事行政のあり方検討委員会」の「最終提言」に基づく市販後安全対策の改革の実行の一つとして作成されたものである。この「最終提言」は、これまでわが国で行われてきた画一的な市販後安全対策を脱却し、ICH-E2Eガイドラインに沿って、個別の医薬品毎に異なるはずのリスクを承認審査の段階から具体的に特定し、その特定されたリスクに応じた科学的な合理性のある適切な市販安全対策をとること及び、これを可能にする環境整備することを求めている。しかし、同ガイダンス案、及びその参考資料として公表された「医薬品リスク管理計画書」は、以下の述べるとおり、最終提言及び同提言の指摘するICH−E2Eを適切に反映したものとは言えない。
  2. (2) まず、ガイダンス案は、「従前の『製造販売後調査等基本計画書』は、製造販売後の『医薬品リスク管理計画(RMP)』の内容を含むものに改めることとし、今後『製造販売後調査等基本計画書』に『安全性監視計画』及び『リスク最小化策』を記載するものとする」と記載している。これは、従前の「製造販売後調査等基本計画書」の基本的な枠組を維持しつつ、RMPを含むものに変更するという対応であるが、これでは、従前の枠組の限界を超えることができない。
  3. (3) 次に、ガイダンス案は、参考資料として「医薬品リスク管理計画書案」のフォーマットを明らかにしたが、このフォーマットには、従来の基本計画書の枠組みにRMPを入れ込もうとした前記の問題点が端的に現れている。たとえば、RMPの最も重要な部分である「安全性検討事項」(2頁)欄では、「(リスク等とその根拠)」という指示があるだけで、記載スペースも小さい。これでは、一体何をどこまで記載することが要求されているのかが分からず、真の意味でガイダンスとはいえない。結果的に、ICH-E2Eに沿った安全対策の実行を担保することができない。
  4. (4) また、ガイダンス案は、リスク最小化策について、 通常は添付文書や使用上の注意の改訂、追加は市販直後調査による情報提供、患者向医薬品ガイドによる情報提供、教育プログラム、アクセス制限、添付文書改訂を例示して記載しているが、それぞれの内容それ自体は、従前行われてきたものを前提とし、これら自体を改善すべきという視点を打ち出していない。
  5. (5) さらに、RMPは、特定された安全性検討事項を起点として作成されるものであるから、これを公開することは、その医薬品の安全性における課題を科学的な根拠をもって端的に示すことになる。そのため、公開自体が有益な情報提供となるが、ガイダンス案には、公開の義務づけ等に言及がない。
  6. (6) 加えて、ガイダンス案は、RMPに関する標準的な考え方を示すとしていながら、結局、製造販売業者が行うべきことについて説明するのみで、提出を受けた計画書をもとに、PMDAが計画の適切さをどのように評価し、また指導監督していくのかという点についての手続や全体像を示していない。
  7. (7) 最後に、RMPが真に機能する前提としては、わが国における薬剤疫学の専門家の要請と研究の促進が不可欠であるが、薬剤疫学の専門家は、PMDAのみならず、製造販売業者においても不足している。ガイダンス案では、薬剤疫学研究の推進のための人材育成、及び公的基金の創設については、具体的な取り組みが示されていない。

4 行動指針と具体的な行動

2011年10月31日、以上の問題点を踏まえてガイダンスを改訂し、追加の措置を講ずべきとする内容の意見書(パブリックコメント)を厚労省に提出した。

5 今後の課題

RMPガイダンスが、上記のとおり、最終提言及び同提言の指摘するICH-E2Eを適切に反映させるよう改訂され、適切に運用されるよう、今後も注視し、提言をしていく必要があると考える。

トピックス

  • 薬害オンブズパースン会議
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2011-10-31
「医薬品リスク管理計画(RMP)ガイダンス(案)に関する意見書」(パブリックコメント)を提出