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ディオバンをめぐる薬事法違反事件の起訴を受けてのコメント

2014-07-01

 ディオバンに関する臨床試験不正、及びその結果を広告宣伝に使用したノバルティスファーマ社の行為は、適正な臨床試験が行われるものと信じて同試験に参加した被験者の人権を侵害するとともに、他の既存降圧剤に勝る心血管イベント抑制効果があるとの宣伝を信じて本薬を使用したすべての患者・医療者の権利を侵害するものです。

 そこで、当会議は、同種不正の再発防止を願って、昨年11月1日にノバルティスファーマ社を被告発人として薬事法違反等で刑事告発をしました。
これまで同種事案で刑事責任が問われることはなかったことに鑑みると、当会議の刑事告発が捜査の契機となって、事件の立件に至ったことの意義は大きいと考えます。

 もっとも、今般のノバルティスファーマ社に対する起訴は、末端の実行犯ともいうべき白橋氏の薬事法違反行為(虚偽の記事の記述)について、両罰規定を適用したものであって、同社の組織的な関与についての刑事責任を正面から問う構成とはなっていません。

 当会議が望むことは、ディオバン事件によってはからずも明るみに出た「製薬企業が、その豊富な資金を使って、研究者に臨床試験を企画・実行させ、その結果をねじ曲げてまで広告宣伝に利用する」という医薬品のマーケティング戦略とその背景にある産学の不健全な関係にメスを入れることであって、一社員が行った不祥事について刑事責任を問うことにとどまりません。

 当会議は、今後、公判を通じて、そうした製薬業界と臨床研究に携わる研究者や医師らがかかえる構造的問題が明らかになることに期待し、注目していきたいと思います。

本事件後も、臨床試験不正や広告不正は後を絶ちません。本件事件が起訴に至ったことを契機に、製薬業界はもとより、アカデミアや医療界が、改めて社会的責任を自覚して猛省し、再発防止に全力を尽くすことを求めます。
 
2014年7月1日
薬害オンブズパースン会議