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「『臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)』に対する意見書」(パブリックコメント)を提出

2012-03-09

2012年3月9日、厚生労働大臣に対し、「『臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)』に対する意見書」(パブリックコメント)を提出しました。

この5か年計画は、平成15年の「全国治験活性化3か年計画」平成19年の「新たな治験活性化5か年計画」に引き続く、臨床研究・治験の活性化策です。
2012案は、9年間の活性化計画を踏まえたさらなる飛躍と自立、日本発の革新的な医薬品、医療機器等創出に向けた取組(イノベーション)の2点を2本柱として掲げています。

この案では、倫理審査委員会の登録制度、認定制度が提案されるなど評価すべき内容も含まれていますが、以下のような問題点があります。

第1は、被験者の権利の確立と臨床試験を法の支配の下に置くという視点が不十分であるという点です。
第2は、臨床試験等の多くが企業の資金に依存し、その結果として、患者や真の医療上のニーズではなく、利潤の追求という観点が優先し、必要性に乏しく質的にも問題のある臨床研究や治験が行われる一方で、真に医療上の必要性のある臨床研究は治験が行われているとは言い難いという状況にあるという現実への対応策が不十分であるということです。

真に患者のためになる臨床研究や治験を活性化するにはどうしたらよいのかという視点が重要です。
そこで、以下の10点にわたって意見を述べました。


<意見の趣旨>

1. 「被験者の権利の確立」が臨床研究・治験の活性化の不可欠の前提であることを明示したうえで、臨床研究・治験の企画立案の段階から患者が参画することの必要性を指摘し、全体の構成において、被験者の権利や倫理にかかわる項目を「2. 日本発の革新的な医薬品、医療機器等創出に向けた取組(イノベーション)」から独立させ、2012案の1本の柱と位置づけるべきである。
2. 「臨床研究に関する倫理指針」の平成25年の改正に当たっては、指針として改正するのではなく、法制化を図ることが積極的に検討されるべきことを明記すべきである。また、法制化の検討は、他の指針やGCPとの関係など、日本の被験者保護全般に関わる事項を整理する場を設けて行うべきことを明記すべきである。
3. 臨床研究の質に関する規定を設けることは、短期的課題とし、前項記載の法制化に際して規定すべき事項とすべきである。
4. 臨床研究・治験の事前の登録の義務化と公開範囲の拡大の必要性について明記し、前記の法制化に際して、記載すべき事項と位置づけるべきである。
5. 企業の利益に反する可能性がある場合であっても、研究者が携わった研究結果は研究者の義務として公表することが保障されるための制度整備が必要であることを明記し、これも、前記の法制化に際して、規定すべき事項とすべきである。
6. 倫理審査委員会・治験審査委員会の登録制度や認定制度は短期的課題とし、ネットワーク化についても明記すべきである。
7. 利益相反関係の管理の厳格化を図り、基準及び審査結果等の公表を義務づける必要性を明記すべきである。
8. 臨床研究のための公的基金創設について明記すべきである。
9. 人材育成について、医学部教育のコアカリキュラムの改訂、生物統計等の大学講座の創設などを具体的に記述するべきである。
10. 国民への普及啓発活動については、被験者保護に関する法制度の整備、臨床研究・治験に関する登録と情報公開の徹底、啓発活動に関するガイドラインの策定などが、必須の条件であることを明記するべきである。