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「エポジン注シリンジの効能効果追加承認の可否に関する意見書」(パブリックコメント)提出

2011-07-26

 2011年7月26日付でパブリックコメント「エポジン注シリンジの効能効果追加承認の可否に関する意見書」を提出しました。

 中外製薬株式会社は、2009(平成21)年11月19日、エポジン注シリンジ(以下では「本薬」といいます)の効能効果に、従来承認されていた効能効果である透析施行中の腎性貧血等に加え、「治癒切除不能な固形がん患者におけるがん化学療法に伴う貧血」を追加申請しました。
 これに対し、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、2011(平成23)年5月30日、「生命予後悪化及び腫瘍増殖促進というリスクを回避することが可能となる本薬の適切な安全管理の方策は不明確であり、現時点では、本薬のベネフィットがリスクを上回るとは判断できない。」として、承認困難との審査結果を出しました。
 これを踏まえて、厚生労働省医薬食品局審査管理課は、2011(平成23)年6月23日、上記追加承認申請に関してパブリックコメントの募集を開始したので、当会議は意見書を提出しました。

 当会議の意見は、PMDAの審査結果と同様、追加申請された「治癒切除不能な固形がん患者におけるがん化学療法に伴う貧血」に関する本薬の有効性と安全性は未だ確認されていないことから、承認を与えるべきではないというものです。

 本薬は、化学療法施行中のがん患者に対する支持療法に位置づけられます。化学療法は、がん患者の生命予後の向上、腫瘍増殖の抑制という目的のために行われるものですから、本薬の使用によって、患者の生命予後が悪化したり、腫瘍増殖が促進したりすることがあってはいけません。
 しかし、本薬には、生命予後の悪化をもたらす原因と考えられている血栓形成促進及び腫瘍増殖促進という、患者にとって極めて大きなリスクがあるとするエビデンスが存在します。そのうえ、現時点において、このリスクを適切に回避するための方法は確立していません。
 
 また、有効性に関して、申請者は、本薬は投与対象患者のQOLを改善向上させると説明していますが、このことを主要評価項目とする臨床試験データは未だありません。加えて、申請者が有効性判断とした指標(理論輸血率)についても、指標そのものの設定や基準値の決め方に問題があると考えられます。

 以上に加え、化学療法を施行しているがん患者の貧血症状については確立した他の治療法(赤血球輸血療法)があることも踏まえれば、PMDAの審査結果と同様に、当会議としても、現時点において本薬に承認を与えるべきではないと考えました。