「一般用医薬品のインターネット販売に関する意見書 -安全性を無視した規制緩和に反対する-」提出
2011-01-21
2011年1月21日付で、意見書記載の薬害被害者団体、消費者団体等は、一般用医薬品のインターネット販売に関して、規制緩和に反対する意見書を内閣総理大臣、厚生労働大臣、特命担当大臣(行政刷新・消費者)、消費者委員会に対して提出しました。
2009年6月の改正薬事法施行に伴い、省令により、第3類医薬品を除き、一般用医薬品のインターネット販売が禁止されました。
ところが、内閣官房設置の「情報通信技術利活用のための規制・制度改革に関する専門調査会」(専門調査会)で、一般用医薬品のインターネット販売規制の緩和に向けた審議・ヒアリング、パブリックコメント募集を実施しました。審議によれば、インターネット販売の規制緩和に向けた提言がなされることになっています。
薬事法改正は、厚労省において医学・薬学の専門家を中心とした検討会での約5年間に及ぶ審議に基づくものであり、改正の主眼は一般用医薬品の販売制度の改善にありました。省令公布後も、医学・薬学の専門家、法律の専門家、薬害被害者、インターネット販売業者など様々な立場の委員が参加した「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」においてインターネット販売の規制が維持されています。
今回のインターネット販売の規制緩和への動きは、これまで長年かけて議論した「改正薬事法」に至る議論を無視するものです。
しかも、
① 専門調査会の委員は、インターネット販売業者やインターネット等の情報通信に関する専門家で占められており、医学・薬学の専門家や薬害被害者など医薬品のリスクについて十分な知識を有する委員は含まれていない
② 薬害被害者団体には直接のヒアリングをせずに書面で簡単な回答を求めただけで、消費者団体等にはいかなる形式のヒアリングも実施していない
③ 審議もヒアリングを実施した日の僅か1回だけであり、今後の議事日程を見ても、充分な審議時間の確保は見込まれず、国民の生命・健康に関わる問題の議論としてはあまりにも短期間である
などの問題があります。
今回の動きは、長年かけた議論を無視し、医薬品の安全性に関わってきた者を排除して一般用医薬品のインターネット販売規制の緩和を推し進めようとするものであり、到底容認できるものではありません。
規制緩和をすすめる人たちは、高齢者や障がい者、離島居住者などの利便性が損なわれると主張していますが、むしろ、これらの方々に対してこそ、専門家の指導による適切な医薬品の使用が強く求められます。消費者が求める利便性は、あくまで安全を前提にしたものなのです
そこで、私たちは、改めて、一般用医薬品のインターネット販売に関して、規制緩和に反対する意見書を提出した次第です。
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