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SSRI要望書に対するソルベイ等回答

2008-07-07

 当会議が本年5月12日付で送付した「抗うつ薬SSRIに関する要望書」について、ルボックス(マレイン酸フルボキサミン)の製造販売元であるソルベイ製薬株式会社及び明治製菓株式会社連名の回答を受領しました。
 回答では、SSRIによる衝動性亢進の副作用に関して、『自殺』、『アカシジア』、『躁転』などの症状について添付文書の【使用上の注意】欄に記載して注意喚起しているとしています。しかし、要望書でも指摘したとおり、このような副作用について十分な知識を有しない、精神科専門医以外の一般臨床医による処方が拡大している現状からすれば、【使用上の注意】欄への記載では全く不十分です。
 なお、回答では、衝動性亢進ないしアクチベーション症候群が「比較的新しい概念」であり、有害事象報告例も3例であることを理由に、「衝動性亢進またはアクチベーション症候群を添付文書で新たに注意喚起するには至っていない」としています。しかし、要望書では、「興奮、攻撃性、アカシジア(精神運動性不穏)、軽躁及び躁状態、暴力などにより、殺人を含め、犯罪事件となる例が見られること」として、具体的な症状と、それが重大な結果をもたらす例があることを警告欄に記載することを求めているのであり、回答には論点のすり替えがあります。
 また、性機能障害の副作用に関して、回答は、現行添付文書の『その他の副作用』欄に記載しており、今後も「他の有害事象と同様」にデータの集積に努めるとしています。しかし、『その他の副作用』欄では注意喚起として不十分であると共に、性機能障害のように把握の困難な副作用については、より能動的な調査を行うべきです。

<要望書の訂正について>
 要望書4頁以下において紹介した全日空機ハイジャック事件についての記述で、「犯人はルボックス服用歴があり」、「弁護側は、『処方医により処方されたルボックスが…事件を引き起こした可能性』を主張し」としている部分について、犯人が服用していたのはルボックスだけではない旨の指摘を受けました。
 たしかに、犯人が服用していたSSRIのうち、事件直近に服用していたのはルボックスですが、判決では、プロザック、パキシル、ルボックス(以上SSRI)、エフェクソール(SNRI)、ランドセン(抗てんかん剤)の5薬剤の服用の事実が認定され、これらの薬剤のいずれもが、「攻撃性や興奮状態等を出現させる副作用を伴う可能性を有するものであった」とされています。そこで、「犯人はルボックス服用歴があり」以下を次のとおり訂正します。
(訂正後)
 犯人はプロザック、パキシル、ルボックス(以上SSRI)、エフェクソール(SNRI)及びランドセン(抗てんかん剤)の服用歴があり、犯行当時は「躁うつ混合」状態にあったと精神鑑定書は指摘している。そして東京地裁判決は、これらの薬剤がいずれも「攻撃性や興奮状態等を出現させる副作用を伴う可能性を有するものであった」として、犯人は「抗うつ剤などの影響で躁うつ混合状態による心神耗弱状態にあった」と認定している。