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内閣総理大臣による日本学術会議の推薦委員の任命拒否に抗議します

2020-10-27

薬害オンブズパースン会議は、2020年10月27日、内閣総理大臣による日本学術会議の推薦委員の任命拒否について、以下の見解を公表しました。
                                         
           内閣総理大臣による日本学術会議の推薦委員の任命拒否に抗議します
             
 薬害オンブズパースン会議は、1997年に薬害エイズ弁護団と全国市民オンブズマンの呼びかけで発足した薬害防止のための民間の監視組織です。
 当会議は、内閣総理大臣が日本学術会議推薦の新規会員のうち6名を任命しなかったことに抗議し、理由の説明と速やかな任命を内閣総理大臣に求めた日本学術会議の要望書を強く支持します。
 日本学術会議は、学問の自由が奪われ科学者コミュニティが戦争に加担する結果となった戦前の反省に基づいて発足した組織であり、職務の独立性は日本学術会議の存立基盤といってよく、日本学術会議法にも明記されています(3条)。
 日本学術会議の会員の選出は、その独立性を反映し、当初は公選制とされ、1983年の法改正により内閣の任命制となった際も、内閣の任命は形式的なものに過ぎない旨の政府答弁があり、それを前提に改正法が成立しています。従って、この度の任命拒否は、法の解釈適用を誤るものです。
 任命を拒否された6人はすべて人文・社会系であり、安保法制や共謀罪創設に反対を表明してきた者が含まれていることに鑑みれば、内閣総理大臣は、政府の政策に批判的な見解をもつ者の任命を拒否したと言わざるを得ず、その行為は、憲法が保障する「学問の自由」を侵害するものです。
 日本学術会議は、1950年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」旨の声明、1967年に同趣旨の声明を公表していますが、2017年には、改めて「軍事的安全保障研究に関する声明」を公表し、近年再び学術と軍事が接近しつつあり、軍事的安全保障研究では、政府による研究者の活動への介入が強まる懸念があると指摘して、前記2つの声明を承継することを表明しています。
 政府が意にそぐわない見解、あるいは政府に批判的な見解を述べる個人や組織を排除したり、その力を弱めたりしようとするとき、自由と民主主義が損なわれ、人々の幸福が脅かされることは歴史的にみても明らかです。
 内閣総理大臣は、6名の推薦委員の速やかな任命を行うべきです。