調査・検討対象

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薬務行政に関するパブリック・コメント制度運用に関する意見

1 パブリック・コメント制度とは

パブリック・コメント(以下、パブコメと略す)制度とは、命令等制定機関が命令等を制定する場合に、命令案・関連資料を予め公表し、意見提出先及び意見の提出のための期間を定めて、広く一般意見を求める行政手続法に基づく制度である(39条1項)。間接民主制の下で直接民主制に近づけるための制度といってよい。
我が国においては、1998年「中央省庁等改革基本法」が制定され、その活用・整備が明記され(同法50条2項)、1999年閣議決定に基づき導入され、2005年改正行政手続法(2006年4月1日施行)により実定法上明文化された。

2 取り上げた経過

閣議決定に基づき1999年4月1日からパブコメ制度は開始され、2006年4月1日から法律上の義務づけがなされたものの、薬務行政におけるパブコメは、形式的(アリバイ的)に行われているだけで、その実質的意義が軽視されているのではないかとの意見が、定例パースン会議で出された。
例えば、2005年11月22日に求められた「治験副作用等報告に係る薬事法施行規則の一部を改正する省令(案)」に対する意見募集では、わずか1ヶ月後の募集期限の直後に省令が施行されているばかりか、パブコメ募集前から施行を前提として都道府県知事に通知が発せられていたのである。
そこで、厚労省ホームページ上の「パブリックコメント・結果公表案件」において、「医薬品」「薬事」をキーワードとして検索し、2006年11月12日現在の直近30件を調査対象として、パブコメ運用についての実態調査を行った。

3 何が問題か

調査結果では、次の諸点が明らかになった。

  1. (1) 意見募集の方法について
    行政手続法で求められている「関連資料をあらかじめ公示」要件については、膨大で難解な資料が公示され、関連審議会・検討会を明示しているもの6件(20%)と少なく、国民の理解を促進しようとする配慮に欠けていた。
  2. (2) 意見提出期間について
    提出期間が予め定められていた20件の平均意見提出期間は32. 7日間と、法定の最低限30日をわずかに上まっている程度にすぎなかった。
  3. (3) 締切日から施行予定日までの期間について
    施行予定日が明示されている8件のうち、1ヶ月間を大幅に超えるものは3件のみで、意見募集がアリバイ的で、募集意見が命令等の内容に反映されていないことが伺われた。
  4. (4) 結果・理由の公示方法について
    法律上義務づけられている結果及び理由の公示については、公示されたものの13件のうち、審議会・検討会が明示された6件について、締切後に審議会・検討会が開催されたもの2件、資料配付されたものは1件もなく、命令等の内容にパブコメが反映されていないこた。
  5. (5) まとめ
    薬務におけるパブコメは、膨大な関連資料を公示して、短期間の意見募集を行い、その結果は命令等の策定に反映されていないことが伺われることとなった。

4 基本的な行動と今後の課題

当会議では、以上の実態調査を受けて、薬務を主管する厚労省及びパブコメを主管する総務省に対し、以下の要望を2007年4月3日に提出した(毎日新聞4月25日朝刊にて報道された)。

  1. (1) 意見募集の際は、案の内容を理解しやすいように配慮すべきである。
  2. (2) 意見提出期間は、3ヶ月程度を基準とすべきである。
  3. (3) 提出意見は、審議会・検討会にフィードバックするなど、充分考慮して政策に 反映すべきである。

当会議としては、薬務に関するパブコメ制度の運用について、今後も定期的に実態調査を行い、その改善度を監視してゆくことが課題である。

トピックス

  • 薬害オンブズパースン会議
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2007-04-03
薬務行政に関するパブリック・コメント制度運用に関する要望書提出

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