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WHOの企業との関係に関するガイドライン1999年原案に対するコメント

1 WHO-GICEとは

WHO Guidelines on Interaction with Commercial Enterprises(WHOの企業との関係に関するガイドライン)の略。
WHOが世界中の人々の健康/福祉に拘わる広範な活動を展開するなかで、その中立性や公共性を維持しつつ最大限の効果を発揮するために、企業との関係がいかにあるべきかを定めるガイドラインであり、定期的な改定が行われる。

2 取り上げた経緯とその後の経過

WHO-GICEを作成するにあたり、WHOは各方面に対して、その原案(1999年7月作成案)を提示し意見を求めた。薬害オンブズパースンの協力団体の一つであるHAI(Health Action International:医療/健康問題に関する国際的市民組織、本部はアムステルダムにある)に、原案提示と意見を求めてきたのは1999年10月11日であり、回答の締め切りは同年末とされていた。このWHOからの書状はHAIのホームページに掲載されると同時に、世界中のHAI協力組織に意見を求める内容の手紙がHAI本部から発信された。

3 何が問題か

WHO-GICE同原案は全部で11章からなり、B4判で7ページにおよぶものであるが、最も問題となる箇所は第3章:寄付(現金)の部分、とくに同章第3項[利益相反の回避]の内容だった。原案では、拠出金を受け取ってよい条件として、“その企業がWHOのプロジェクトに直接的利害関係がない場合"とされていた。しかしこのような規定では、他の無関係なプロジェクトへの寄付金という形を装って、直接利害関係のあるプロジェクトへの働きかけが行える余地を残すことになる。

4 基本的な行動

WHOと商業的利害関係をもつ企業からの寄付は一切禁止すべきである。財政的困難のため、そのような企業からの寄付をどうしてもWHOが受けなければならないのであれば、拠出金は外部監査システムをもつ独立機関を通じて受け取るようにし、拠出金の再配分もその機関を通じて行うことにすべきである。以上のような内容を、1999年12月24日WHOに送付した。

5 結果

以上のほか、HAI本部、[臨床評価]誌編集委員会の有志、国際ベビーフード行動ネットワーク(IBFAN)からも意見が表明された。WHOが提示した原案の内容はHAIのホームページに掲載されているが、翌年に発表されたStandard Format for AFRO Project Documents (http://www.afro.who.int/irm/reports/project_eng.pdf)には、Annex 5として改訂されたガイドラインが示されている。26項目5頁にわたる記述の骨子は殆ど変わっていないが、利益相反に問題ありと判断された場合は、内部の法律顧問を通じて民間部門協力委員会に付託されることになっていて、オンブズパースン会議が提案した外部監査システムがチェックするという仕組みにはなっていない。

6 今後の課題

WHOからの発表、およびHAIからの連絡が薬害オンブズパースン事務局に届いたのは、12月上旬。締め切りまでの時間が十分になく、内容の検討が不十分であった。WHO、HAI、その他の海外協力機関との協力をもっとスムースに行える体制を必要とする。また、フォロー体制も整える必要あり。

トピックス

  • 薬害オンブズパースン会議
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1999-12-24
WHOの企業との関係に関するガイドラインに対するコメント送付

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