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 なんでトリルダンが気管支喘息に効くと言えるのか、回答書を読んでもサッパリわからなかった。それで、もう1度、製造販売社のヘキスト・マリオン・ルセル社に質問書を送った。いまどき「玄人でないとわからない」という類の話は疑ってかかった方がいい。
 さっそく回答書が届いた。しかし依然としてわからない。いわく、「臨床試験はその国の時点の承認審査の要件を満たしていればよい」。そうか?ヘキスト社はドイツ・米国・フランスの企業が合併してできた会社。それぞれの国の承認審査要件を満たしているかどうかについて答えないのはどういうワケだ。「臨床試験時の要件を満たしていればよい」とも言う。後にふりかえって見直すという発想がない。
 トリルダンは現在、厚生省で再評価審査中。ヘキスト社は厚生省の結論を待って方針を決めるつもりらしいが、それじゃダメ。私たちの疑問が合理的だと思うなら、自分で再検討して現在の承認審査要件を満たしていなければ、勇気ある撤退を決断し、そのことを公表してほしい。これからの企業に求められるのはそういう自主的な選択だ。

追記
 なお、ヘキスト社に薬害オンブズパースン会議のホームページ上への同社の回答掲載を打診したら、頑なに拒絶されてしまった。ヘキスト社曰く、「最初の約束ではオンブズパースン会議内に止めるということだったはず」「医療用医薬品の広告になるからダメ」。でも、私たちは私的な文通を申し込んだわけじゃない。無数の人々の生命健康に関わる公共性の高い重要な情報なのだから、ヘキスト社が自ら率先して公表してもいいくらいだ。私たちは、「企業秘密に類するような情報の提供をしてもらえるのなら、その場合には公表を控えることを検討する」と言っただけ。ヘキスト社への回答の中にはそういうものは何もなかった。全文掲載でヘキスト社が社会的に誤解されることなんてあり得ない。
 薬害オンブズパースン会議独自の判断で全文掲載するという方法もなくはないけど、今後も何らかの薬剤に関してヘキスト社と意見交換する可能性があるので、ここは一応礼儀を重んじて、当面は、こちら側の見解全文とヘキスト社の公表拒絶通知のみを掲載することにした。

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