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Q1 薬害オンブズパースンに関わるようになったきっかけは?
 薬害エイズ裁判を通して、この被害を生じさせた制度を改革しなければいけないと感じてね。しかし、行政側に任せていては望むようなものにはなかなかならないでしょ。市民サイドで、自分たちの手で少しづつでも変えていかなければと思って、この団体に参加することにしたんだ。

Q2 忙しい弁護士業をするかたわら、プライベートの時間を割いて全くのボランティアでこの活動を行っている訳ですが、普段の仕事(弁護士業)とこの仕事に対する関わりあい方の違い。
 全くないよ。仕事とこの活動に差はないんだ。普段の仕事は1つを除いて個人相手の仕事だし、お金は、かっこいい言い方をするけど、関係ないよね。この活動をするのは、弁護士になった最大の理由、‘社会正義'のためだな。口幅ったい言葉で照れちゃうけど。

Q3 薬害オンブズパースンの活動を約2年間されて、新たに感じていることは?
最近、大きな壁を感じてね。この団体は弁護士、医師が主を占めている専門家集団でしょ。市民サイドの目で!と活動をしているのだけど、一般庶民としての感覚がわからないんだ。色々議論し問題点を挙げ、解決しようと方針を打ち立てても、このことをうまく市民の方にフィードバックすることができなくて、一般の人たちから遠い存在になてしまっているんじゃないかな。市民自らの手で行政を変え、薬害をなくそう、という主旨だったのに、専門家が専門家だけで話し合い、進んでしまっている一面を感じてしまっているんだ。これをどうやれば改善できるのか、悩んじゃうよね。

Q4 ノスカールについて一番問題だと感じられたことは?
どの問題にも共通することだけれども、2つ挙げられるかな。1つは、取捨選択される前の情報が入手できないこと。治験段階で副作用に気づくことができなかったのか調べたかったけど、情報は相手が‘これは関係ある'と判断したものにしか入手できないんだ。全てのデータを客観的な目で見れば、新たなことが解るかもしれないのにね。2つめは、私たちが話し合った内容を文書にして、関係省庁に提出し受け取ってくれても、そのままで何も変わらないということなんだ。具体的な応答がなくてね。この団体がしっかりとした文書を作って提出してもこのような扱いなのだから、一市民の方が行政を訴えることの大変さを実感したし、申し立て機関の必要性を強く感じたなあ。申し立て機関に応答義務が生じれば、一市民も訴えることで権利意識がもっと芽生え、行政も変わっていくんじゃないかな。

Q5 タイアップグループに期待することは?
市民とパースンの橋渡しになってくれないかな。パースンが活動している内容を噛み砕いて一般の人にフィードバックして欲しいな。また、エイズ、ヤコブ、スモン等色々な薬害が起こってしまったが、その人たちを結び付け、同じ薬害を防ぐ、という活動のまとめ役になって欲しい。どうしても、この問題はこの活動、あの問題にはあの活動、と同じ‘薬害'であるのに、うまく連携することができていないように最近感じていてね。ぜひ、これらの人を結び付ける役割を担って欲しいと思う。これらはすごく難しいことだけどね。

インタビューを終えて
インタビューをまとめていると、もっとこれを聞けば良かった、といろいろ反省点が浮かんでくるのですが、初めての経験ということでお許し下さい。パースン会議の時にはわからなかった先生のこの活動に対する熱い思いを知ることができ、また、私自身も色々考えることができて、役得だなー、と思っています。先生の‘社会正義'の一言で貫かれている弁護士の仕事とこの活動、私も少しは見習わなくては…。
すごく気になっていたお髭は、特に願掛けをしている訳ではないとのことでした。
どうもありがとうございました。

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