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 1月9日、薬害オンブズパースン会議(以下「OP会議」と表記します)は、H2ブロッカー配合の胃腸薬(山之内製薬の「ガスター10」等)を製造又は販売する製薬企業11社と、厚生省及び日本薬剤師会に対し、現状のままでOTC薬(Over the counter。病院での処方薬ではなく、薬局等で店頭販売される薬)として販売されることには疑問があるとして、疑問の根拠を明らかにしつつ質問書を提出しました(別掲参照)。
 この薬の検討、質問書の作成・提出には、タイアップ・グループの谷直樹氏(弁護士)も、オンブズパースンのメンバーと一緒に活動しました。谷さんにその感想などを聞いてみました。


H2ブロッカーの問題では、タイアップのメンバーの一部も協力して、使用法について販売時に薬局で適切な説明がなされているか、実態調査を行いました。その結果、調査総数27件のうち、薬局から十分な説明があったのは1件だけでした。
 タイアップグループでは、今後もこのような市民参加の調査を積極的に行ってきたいと考えています。

H2ブロッカー配合胃腸薬に関する質問書(1)要旨
【医療現場での従前の取り扱い】
 もともとH2ブロッカーは、胃酸分泌を抑える薬として、潰瘍対策、その後胃炎にも適用を拡大された上で医療現場で用いられてきたが、これまで使用法を誤った際には重大な副作用があるとして、厚生省の医薬品副作用情報が繰り返し出されている(血液障害、精神錯乱、痙攣等)。また、使用を急に止めると胃酸分泌が増加するリバウンド現象により潰瘍が再発する例が多く、医師の指導に従って慎重な使用がなされてきた。

【有効性の問題】
 H2ブロッカーの臨床試験を検討すると、H2ブロッカー単体と制酸剤(酸を中和する薬)との比較試験がなされておらず、その他の結果を見ても、より高い有効性があるという結果は導くことが出来ない。

【危険性の問題】
 H2ブロッカーは、血液障害や感染症、精神錯乱等重大な副作用をもたらす恐れがあるばかりか、他の薬との飲みあわせによる作用(相互作用)の危険もあり、消費者が医師の指導を受けずに手軽に服用することは危険性が大きい。

【薬局での説明の問題】
 右のような危険性を薬局で全て説明し、消費者に理解させることは、販売の実態からしても、販売者及び消費者の能力の問題からしても極めて困難である(事実、販売実態調査ではほとんど適切な説明はなされず、誤った説明がなされる場合が多い)また、購入者ではない者が使用する危険は避けられない。

【質問(抜粋)】
(1) OTC薬として適切な薬の基準をどう考えるか。(2)どの症状にどれだけの量を使えばどれだけの効果があるか、根拠となるデータを示されたい。(3)使用上の用法・容量が守られなかった場合の副作用・相互作用の程度をどう考えるか。(4)販売の際の説明について、必要事項の説明にどの程度の時間を要すると考えているか。そのような説明は可能と考えているか。(5)薬剤師・薬局の責任をどのように考えているか。(6)説明責任を薬局・薬剤師に求めることで、製薬企業の責任は軽減されると考えているか。(7)販売実態を把握しているか。把握しているものについて公開する予定はあるか。(8)過剰とも思える広告についてどう考えるか。(9)今後の具体的な対策をどう考えるか。


谷直樹さんへ6つの質問
Q1 薬害には関心があったのですか?
A1 私は、もともと丈夫な方ではないので、医療・薬害の問題は他人ごとではないという思いがありました。

Q2 日頃はどんな仕事をしているのですか?
A2 「俳優の人違い冤罪事件」とか、「韓国人の元日本兵の恩給請求事件」とか「煙草訴訟」とかあり、準備が大変なのが多いですけど、まあ普通の弁護士です。
 タイアップの活動の一部には弁護士の技術が活かせるところもありますが、日頃の仕事とはまた違う頭を使っている感じです。

Q3 タイアップに参加した動機は?
A3 薬害は、―殿膺執錣任△雖範囲はかなり広く2麌不可能な被害であることが特徴です。
 そういう被害が生じてから長い裁判をしても虚しい限りです。勝訴しても失われた健康・生命は戻りません。悲惨な薬害は、起こる前に防止しなければならない、と思います。こういう薬害の仕組みを知った人は、何かをすべきなのです。弁護士だからということではありません。

Q4 H2ブロッカー班に参加して、質問書(1)をまとめるなどしたそうですが、感想は?
A4 質問書については、何回もH2ブロッカー班で議論したので内容的にはかなり詰めたつもりですが、薬剤師、医師、弁護士それぞれに着眼が違い、草稿に対しそれぞれから細かい所まで意見が寄せられ、それを受けてわからやすく正確に表現しようと最後まで修正を行いました。
 理系の頭脳に文系の表現力をプラスしたものにしようと努めたのですが、結局は私が理解した範囲でしか書けないので、その辺が難しかったです。こうして具体的な薬について検討してみると、日本の医療、薬の仕組みがよく見えてきました。いい勉強をさせていただきました。

Q5 今後はどういうふうに進めるのですか?
A5 スイッチOTC薬を巡る問題は奥が深いので、質問書(1)には盛り込めなかったものがあります。また、回答書にはこちらの問題意識とのずれもありますので、第二、第三の質問書を準備しています。

Q6 薬害オンブズパースン会議の印象はいかがですか?
A6 薬害オンブズパースンの方々は本などで知っていましたが、それぞれ専門家として第一人者です。その方々が一堂に会しての真剣な議論は刺激的です。こういう活動は今までの日本にはなかったことです。
 ただ、薬害オンブズパースンの話は難しい。その点をタイアップグループが素人の感覚で加わることで、多くの人に理解できるようにしたいです。

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