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● 情報公開請求に至る経過

 当会議は2000年1月に正露丸等の販売中止を求める要望書を提出していたところ、2001年3月、厚生労働省は、肝機能障害の副作用症例が3件報告されたことを理由に正露丸の添付文書を改訂したが、3件の症例のうち公表されたのは1例のみだった。そこで、同年4月、これら3症例について情報公開請求を行った。

● 黒塗りだらけの文書開示

 これに対し、厚労省は、「医薬品副作用・感染症症例票」のうち、「患者の略名」、「年齢」、「職業」、「医療機関所在地」、「主な既往歴、患者の体質等」、「副作用・感染症の発現状況、症状及び処置等の経過」、「担当医等の意見」、「当該医薬品の成分に関するアンケート」、「臨床検査所見及び担当医の見解」の欄を不開示とした。開示された文書は黒塗りだらけ、意味のある部分はほとんど見られない代物だった。

● 情報公開審査会の判断

 同年7月、処分の取消を求める異議申立てを行い、学識経験者等で構成される「情報公開審査会」(現・情報公開・個人情報審査会)による審議が行われた。

 厚労省による不開示理由の説明は、これらの情報は患者個人の特定が可能な「個人情報」であるか、個人が特定されなくても、個人の人格と密接に関連するカルテ同様のものであり、公にすればなお個人の権利利益を害するおそれがある(情報公開法5条1号該当)、というものだった。

 しかし、審査会は、特段の事情がない限りこれらの情報から個人が特定されることはないとした上で、「主な既往歴、患者の体質等」と「副作用・感染症の発現状況、症状及び処置等の経過」については、個人を特定できなくても公にすることにより個人の権利利益を害するおそれがある情報であるとしたが、さらに情報公開法5条1号の例外に該当するかを検討し、同号ただし書きイの「慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に該当するとして、「年齢」、「職業」、「医療機関所在地」、「主な既往歴,患者の体質等」、「副作用・感染症の発現状況、症状及び処置等の経過」について開示すべきとした(なお、これらの情報を同号ただし書きロの「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当するとした別件答申もある)。

 また、「担当医等の意見」についても、開示すれば症例報告制度の運営に支障を来すとした厚労省の意見を退け、開示すべきとした。その結果、審査会が発した答申は、黒塗りの大部分を開示すべきとする内容であった。

 この答申は、副作用症例票の情報公開のリーディングケースの一つとなり、以降の情報公開請求では、厚労省は基本的にはこの答申に即した開示の運用を行っていると思われる。

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