閉じる

 「参考人3人のうち、2人に利益相反があり、3人全員が企業と同じ意見というのは、フェアな選定ではない」

 この頷ける発言(要旨)は、塩野義が承認申請中の新型コロナウイルス感染症治療薬「ゾコーバ」に関する厚労省の承認審査における審議会委員のものです。

 本年6月の薬機法改正により、緊急事態において第響蟷邯海砲茲衢効性が推定できるときは第形蠅慮‐敕臨床試験の結果を待たずに承認を与える「緊急承認制度」が創設され、塩野義製薬が、その第一号の適用を目指して申請したのがゾコーバです。

 通常、医薬品の承認審査は知的財産権の保護を理由に非公開で行われますが、薬機法の重大な例外である緊急承認の透明性確保は、国会でも議論となり、異例の公開審議となり、You Tubeで配信されました。

 ゾコーバの承認審査における焦点は、第響衫彎音邯海砲いて、抗ウイルス効果は認められたものの、肝心の主要評価項目である臨床症状の改善効果をプラセボに比較して有意差をもって示すことができなかったということでした。つまり、「有効性の推定」の要件を満たさないという問題です。

 当会議もゾコーバの承認に反対する意見書を公表しています。

 実は、この薬、政治筋は承認に前のめりなのですが、PMDAはめずらしく消極なのです。そういう中で審議会に招聘された参考人3人の選定をめぐって委員が苦言を呈したのが冒頭の発言だったわけです。

 この審議会では、PMDA理事長から、「後付け解析」の問題も指摘されました。塩野義は、主要評価項目の証明に失敗した後、なんとか有意差を示そうと後からさまざまな解析をしたのです。何度も解析をすれば、統計的に一定の確率で企業の望む結果がでます。しかし、それはその薬の実力を示すものではありません。そのことも指摘されたのでした。

 普段は議事録をみて失望することが多い承認審査に関する審議会の討議ですが、久しぶりに納得できる発言が相次ぎました。ゾコーバの審査は継続となりました。今後の緊急承認制度の適切な運用のためにも、是非慎重に検討してほしいと思います。

閉じる