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2022年3月1日、当会議は東京都に対し「ファイザー執行役員の東京都教育委員会委員任命に反対する意見書」を提出しました。

 これは、東京都議会がファイザー株式会社の取締役執行役員(炎症・免疫部門長)である宮原京子氏の東京都教育委員会委員への任命に同意したことを受け、かかる人事が行われれば医薬品行政と教育行政の中立性と公平性を損なうおそれがあることを指摘したものです。

 教育委員会は、児童・生徒や教職員らに対する感染症の予防対策についても責任を持つべき立場にあります。現に都教委は昨年8月16日付で都立学校における新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインを作成して改訂を重ねるとともに、高校生に向けてワクチンに効果があることを啓発するリーフレットを作成するなど、新型コロナウイルスワクチンの接種に関しても強い影響力を発揮しています。

 こうした役割を持つ組織の委員に、新型コロナウイルスワクチンを製造販売する企業の執行役員が就任すれば、学校における各種の新型コロナ感染症対策について利益相反を生じることが強く懸念されます。しかも宮原氏は、ファイザー社において一貫して営業部門の責任者を歴任してきたという経歴の持ち主です。児童らを対象とした新型コロナウイルスワクチンの接種を巡って様々な議論がある中で、ワクチン製造企業の営業部門出身者が都教委の委員に任命されるというのは、利益相反性に対する配慮を欠いた人事と言わざるを得ません。

 当会議はこのような意見書を提出しましたが、同年3月13日付で実際に宮原氏は委員に就任しています(任期は4年間)。宮原氏の就任に関し、都教委の担当者は「今後、学校と民間企業との連携がより重視されるようになる。産業分野だけでなく、デジタルやグローバルの方面でも、経歴を生かした意見を期待したい」と述べたと報じられています。このコメントからも、都教委が、製薬企業と行政との利益相反関係についてあまりに無見識であることがうかがわれます。

 今後、都教委における審議が、製薬会社の影響力で実際に歪められることがないよう、監視を続ける必要があります。

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