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 2022年3月7日、当会議は厚生労働省に対して「緊急承認制度に関する意見書」を提出しました。

 この意見書は、政府が同年3月1日に閣議決定した薬機法改正案に、医薬品等の緊急承認制度の創設が盛り込まれたことについての問題点を指摘したものです。 

 本来、医薬品が承認されるには、規模の大きい第形衫彎音邯海罵効性及び安全性が「確認」されることが必要ですが、今回提案された緊急承認制度では、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の防止を目的とする場合には、小規模な第響蟷邯海罵効性が「推定」されれば、条件及び期限付きの承認が可能とされています。これは、現行の薬機法における特例承認制度が海外で承認された医薬品を対象としているため、国内で開発された新規ワクチンなどを緊急時に早期導入する仕組みがないことを理由とするものです。

 しかし、過去に例外的な手法を用いて日本で世界に先駆けて導入が試みられた医薬品等では、いずれも非常に大きな問題が生じています(アビガン、ゾフルーザ、ステミラック注、イレッサなど)が、国は十分に総括していません。過去の失敗に学ばないまま、早期に新薬を届けるという美名の下で緊急承認制度を創設することは、新たな薬害の温床となることが強く危惧されます。

 当会議は、こうした視点から今回提出された法案の具体的問題点を次のように指摘しました。

有効性が検証されていない以上、「承認」を与えるのではなく、米国の制度等と同様に「緊急使用許可」にとどめるべきである。

◆峽鮃被害の防止」という要件が漠然としすぎており、米国の制度等と同様に、パンデミック、原子力事故、バイオテロなどの「緊急事態」を要件とすべきである。

承認期限の延長が繰り返されてはならず、延長は1回までに限るべきである。

緊急承認後の期限内にあらためて行われる承認申請では、通常の審査と同様に検証的臨床試験成績の提出を求めるべきである。

緊急承認の効力が無制限に長期化することを防ぐために、緊急承認後の承認審査期間の上限を定めるべきである。

 さらに当会議は、有効性の検証が不充分な医薬品が市場に出ることに対応した市販後安全対策と救済制度が必要であることも指摘しました。

 今回の改正案は、医薬品承認制度の根幹を揺るがしかねないものです。今後の国会審議においては、過去の苦い教訓を踏まえた丁寧な審議を尽くす必要があります。

追記:本稿執筆後の2022年5月13日、緊急承認制度を含む薬機法改正案は成立しましたが、国会の厚生労働委員会審議においてパースンメンバーが参考人として出席し(衆院・水口、参院・隈本)、衆参両院で付された附帯決議には当会議の主張が一定程度反映されています。

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