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 新型コロナウイルスの感染拡大が報じられ、ワクチン接種が呼びかけられています。新型コロナウイルスワクチンは、予防接種法上、国が接種を勧奨し、国民に努力義務が課されていますが、国会で接種するかしないかは国民自らの意思に委ねられるものであることや接種しない者に対する差別、いじめ、職場や学校等における不利益な取扱い等は決して許されるものではないことを確認する附帯決議がつけられました。

 日本では、1994年の予防接種法の改正までは強制も罰則もありましたが、この改正により廃止され、どんなワクチンでも強制はできません。これは、強制された予防接種で、死亡や重篤な副反応被害を被った被害者たちが集団訴訟を提起し、国の責任を認める判決が出たという薬害事件の教訓を踏まえたものです。したがって、附帯決議は、より一層強く自己決定の尊重を求めたものといえます。しかし、実際には、とても断れない同調圧力が強いことが、日弁連が実施したホットラインで明らかになりました。

 その関係で気になるのは、医学的な観点から接種できない人への配慮の必要性は認めるが、その一方で、ワクチンの安全性などに対する懸念からワクチンを接種しないという選択をする人については、非科学的な「デマ」に踊らされているとする一部の報道です。確かに、インターネット上には、非科学的と評価せざるを得ない陰謀論もあります。しかし、そういう極端な例ばかりを取り上げて、安全性に対する問題提起全体に「デマ」のレッテルを貼り、議論を封じようとする態度は、それこそ非科学的です。これはHPVワクチンをめぐる問題で、一部のワクチン推進派が採用してきた手法ですが、メディアがこれをするのは自殺行為です。異議を唱えていきたいと思います。

 最後になりましたが、今年は2年の薬害オンブズパースン任期の区切りの年です。メンバー、代表、副代表、事務局長は従前どおりです。引き続きご支援をよろしくお願いいたします。

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