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 2010年4月の「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会 最終提言」から九年半も経過した2019年11月の薬機法改正により「医薬品等行政評価・監視委員会」(第三者組織)が法制化され、2020年9月から委員会活動が開始された。

 1948年のジフテリア予防接種禍から始まった薬害の連鎖は、果たして断ち切れるのか。薬害の原因について製薬企業のマーケティング戦略と産官学の癒着が指摘されてきた。近年は医薬品を含めた医療の産業化(経済優先化)や医薬品の条件付き早期承認制度という承認手続の規制緩和が導入され、産官学の連携も強調されている。

 薬害を根絶するためには産官学の監視だけで充分であろうか。

 薬事政策が患者中心に運用されてゆくためには更に二つの運動が必要と考える。

 一 つ目は医薬専門職のプロフェッショナリズム(専門職主義・行動基準)の確立である。

 医薬専門職の使命は患者の権利擁護であり、集団的自律に基づく専門職体制の構築が期待されている。近年は従来の「倫理」「責任」といった外圧的考え方から、前向き志向のやり甲斐的な「プロフェッショナリズム」の考え方に転化しつつ、各専門職集団の倫理綱領も改訂され始めており、誠実性原則に基づく組織ガバナンス構築も目指されている。医薬品を医療現場で取り扱う医薬専門職の患者の権利擁護者としての役割が強化される必要がある。近年強化された特定機能病院の医療安全体制も医薬専門職に新たな役割が求められている。

 二つ目は患者学である。

 患者学は自らの疾患やその治療法に自立的に取り組む患者の姿勢を強化するものである。患者の権利(人権)は自ら「不断の努力によってこれを保持しなければならない」(憲法第12条)とされ、「与えられる医療から参加する医療へ」(1984年患者の権利宣言)の転換が大事である。ネット情報等から医学文献や医薬品添付文書等を検索し、医療者からの説明をノート記載し、医療者との「情報と決断と方策の共有」(木村利人)がインフォームド・コンセントの基本的考え方であることを実践することである。患者・家族と医薬専門職の協働が医薬品の取扱いに不可欠と考える。

 医薬品の民間監視団体として「薬害オンブズパースン会議」は約25年程活動しているが、これからは「第三者組織」も監視しつつ、医薬専門職や患者・家族の運動の展開に寄与する情報提供にも努めてゆきたい。

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