閉じる

 2017年12月、薬害肝炎救済法が改正され、給付金の請求期限が5年延長、2023年1月16日までとなった。2008年1月に救済法が制定されたが、今回で2度目の請求期限延長である。

 薬害肝炎訴訟は、フィブリノゲン製剤や血液凝固第IX因子製剤などの血液製剤の投与によりC型肝炎に感染させられた被害者が、2002年10月に、国と製薬企業に対し損害賠償を求めた裁判である。2006年から2007年にかけて東京地裁など5地裁で勝訴判決を獲得、原告団を中心に2度の座り込み、2度の首相官邸前行動を経て、福田康夫首相(当時)が「全員 一 律救済」の政治決断を表明、議員立法で救済法が制定されると同時に、国との間で基本合意書が締結され、原告約200名が和解に至った。2017年9月時点で、2293名の被害者が和解している。

 しかし、約2300名しか救済されていないというのが実感だ。

 製薬企業の推計では、フィブリノゲン製剤は1980年代以降で29万人に投与され、1万人以上にC型肝炎を感染させたとされている。この10年間で投与がわかったのは、わずか1万8000人に過ぎない。まだ27万人以上が埋もれている。

 それは、医療機関でのカルテ調査が進んでいないことによる。救済法では、付則で「政府は、…医療機関による当該製剤の投与を受けた者の確認を促進」するとしているが、いまだ40%以上の医療機関が手をつけておらず、それも、血液製剤が大量に納入されていた大規模病院ほどその傾向が強い。原告団・弁護団はこの間、厚労省に対し調査促進のために予算措置を講じるよう求めてきたが、拒否され続けている。このままでは3度目、4度目の延長も必須であろう。

 薬害肝炎はまだ終わっていない。紙面の都合上書けなかったが、他の課題も残されている。真の「全員 一 律救済」が実現するまで、闘い続ける所存である。

閉じる