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 今年(2018年)、2月28日で、陣痛促進剤による被害を考える会の設立30周年を迎えた。

 1984年4月28日(土)、第3子の陣痛誘発中に過強陣痛の連続から子宮破裂となり、子供が重度仮死で産まれ、脳性麻痺となり1歳8ヶ月で死亡したことが設立の原点である。

 当時は、陣痛促進剤で、こんなに悲惨な被害が起こっていることの情報は皆無で、子宮破裂した原因は、何だったのか? どこに問題があったのか? 入院中は、誰も教えてくれず、自分も聞けなかったので、退院して看護学校時代の医学書を調べ、初めて陣痛促進剤の過剰投与による子宮破裂事故であることを知る。

 被害が週刊誌、テレビで特集され、新聞への投稿、訴訟提起の記事が新聞に掲載されたことにより多くの潜在する被害者がいることが分かり、これ以上悲しい出産をさせたくないと決意し、1988年2月28日、会を立ち上げることになった。

「陣痛促進剤の使用による悲惨な事故をなくし、安全なお産の実現を目指す」ことを目的に活動を開始した。

 1992年4月、市民団体「薬害・医療被害をなくすための厚労省交渉団」に参加し、年3回の厚労省交渉を開始し、まず、陣痛促進剤の添付文書の改訂を要望し、これまで15回以上の改訂が行われ、警告や注意喚起されているが、会が把握している被害事例だけでも、母体死亡、児の脳性麻痺や死亡等で384件あり、産科医療補償制度の原因分析報告書を見ても、まだまだ十分とは言えない。

 他に、無資格助産の是正、母子健康手帳の改正等、成果はそれなりにあったが、最近の無痛分娩による分娩事故の報道も多く、安全なお産に繋げるために、私達は、国、自治体、製薬企業、医療従事者及び産科医療を受ける方々において、以下のことが5年を目途に達成されるように活動目標を立てたので、ここに公表する。

1 お産にかかわる薬剤の添付文書を厳守すること。

2 陣痛促進剤の危険性も含めた十分な説明を行い理解と同意を得ること。

3 無痛分娩は、産婦人科医、麻酔医、小児科医が常に動ける体制でのみ行うこと。

4 分娩中の脳出血・クモ膜下出血に対する適切な認識及び行動を確保すること。

5 子宮底圧迫法のガイドラインの検証と正しい知見を確立すること。

6 保健師助産師看護師法を遵守すること。

7 産科医療を受ける方への情報提供を充実させること。

 これらのことを関係者が一丸となることで、真の意味で、お母さんと赤ちゃんの安全な産科医療に繋げることを願って止まない。

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