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医薬品をとりまく世界では「偽装」とか「偽装のようなもの」がはびこっているように思えます。

 わたしたちは、意見書の中で「偽装」という言葉を使ったことが1回あります。HPVワクチンの接種推進運動を行っている「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」が、HPVワクチンメーカー2社から巨額の寄付を受け取っていたことや、同会議の事務局がグラクソ・スミスクライン株式会社の元ワクチンマーケティング部長であったことなどが調査によって分かったときです。この組織の活動は、啓発に名を借りた「偽装プロモーション」であると考え、2015年に日本製薬工業協会にプロモーションコード違反の申立てをしました。
「偽装」という言葉こそ使っていませんが、2006年、薬害エイズ和解10周年記念シンポジウムにおけるデービッド・ヒーリー教授の講演のタイトルは、「科学の外観をまとったグローバルビジネス」、
英語の原題は「Global Business Masquerading as Science」でした。  
医薬品の広告という点でいうと、2010年のシンポジウムでは、抗がん剤イレッサについて、医師の学術的な対談記事の体裁を装って薬事法で禁止されている承認前宣伝が行われたことを問題にしました。もっとも、このときに問題とした記事は、下の方をみると、小さく「広告」であるということは書いてありました。

 しかし、最近、ワセダクロニクルという調査報道を行う新しいメディアができ、その配信によって、特定の医薬品に誘導するように記載されている新聞の医療記事の掲載に対し広告代理店から対価が払われていたということが報じられています。問題の医療記事には「広告」であるといったことは記載されていません。これが事実とすれば、そこには、単にメディアのあり方にとどまらない根の深い問題があると感じるのです。記事は連載中ですので、この問題を注視していきたいと思います。

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