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 HPVワクチンに関する厚生労働省の検討会を傍聴していて、ここにいる委員は、本当に被害の実態を分かって議論しているのだろうか、と思うことが何度もありました。

 2004年、当会議のシンポジウムで講演をされたチャールズ・メダワー先生は、抗うつ剤SSRIが引き起こす自殺衝動について、多くの医師が、患者の訴えを、薬の副作用ではなく、うつ病のせいと決めつけて耳を傾けなかったということや、副作用報告がされても、医学用語に置き換えられた途端に実態からかけ離れ、自殺を誘発するという深刻な副作用があることを明らかにできなかったと指摘しました。今、改めて、この講演を思い出しています。

 副作用の発生率を示す数字や、疼痛、広範な運動障害といった単語を並べただけでは被害は分からない。そう考えて、私たちは被害者の報告書をまとめ、当会議のWEBサイトで公表しました。是非ご一読ください。

 ところで、メダワー先生の活動は、英国で患者からの副作用報告制度をスタートさせる原動力となりました。日本でもこれを見習って、PMDAのサイトで患者副作用報告制度が試行されています。医師が薬の副作用と認めようとしないHPVワクチン被害でこそ、この制度が活用されるべきなのです。しかし、活用されていません。制度が周知されていないだけではなく、入力が複雑ということもあるようです。この際、利用しやすいように見直してはどうかと考えています。

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