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 多発性骨髄腫の治療薬であるサリドマイド製剤「サレドカプセル」及び類似薬レナリドミド製剤「レブラミドカプセル」には、催奇形性があることから、胎児への薬剤暴露を防止するため、管理手順として「TERMS(サリドマイド製剤安全管理手順)」及び「RevMate(レブラミド適正管理手順)」が定められています。これらの管理手順は、TERMS第三者委員会及びRevMate第三者評価委員会による患者等を対象としたアンケート調査の結果、患者にとって大きな負担となっていることが明らかとなったため、内容の一部を見直す提案がなされ、2012年3月、見直し案に対するパブリックコメントの募集がありました。

 当会議としては、困難な疾患である多発性骨髄腫と闘病する患者に、さらに加わる管理手順による負担は、可能な限り軽減したいと考えています。

 しかし他方で、かつて多くの被害者を出したサリドマイド薬害事件が示すように、サリドマイド製剤等の催奇形性のもたらす被害が極めて深刻であることから、再承認にあたり、薬害被害者、多発性骨髄腫の患者、専門家らが、厚生労働省の検討会において真摯な議論を積み重ねた到達点として、この管理手順が定められたという経過の重さを充分に踏まえる必要があります。また、サリドマイド製剤等の催奇形性がもたらす障害は、患者本人ではなく、生まれてくる子という別人格に生じることから、管理手順緩和によって危険性が高まる場合に、それを正当化する根拠を患者本人の自己決定権に求めることができないという特殊性もあります。

 これらのことから、管理手順の見直しに当たっては、患者負担軽減の必要性を認めながらも、万が一にも胎児暴露があってはならないという安全性を重視した慎重な姿勢で臨まざるを得ないのではないかと考え、女性患者の定義、定期調査頻度及び理解度確認テストに関し、管理手順を緩和する方向でなされている見直し案に、現時点では賛成しかねる旨の意見を述べました。

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