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 「歴代の大臣が約束したんですよ!」 こう言って、薬害肝炎原告団・弁護団の方々は、政府に抗議しています。

 この約束とは、薬害肝炎検証・再発防止委員会の最終提言が求めた第三者監視・評価組織の創設です。そもそもこの委員会は、薬害肝炎訴訟の原告団・弁護団と厚生労働大臣の間で締結された基本合意に基づいて厚生労働省に設置された委員会です。この委員会の最終提言に沿った第三者監視・評価組織の創設については、歴代の厚生労働大臣が実行を約束してきました。

 しかし今、政府は、その創設の根拠となる法案を、内閣として今国会に提出するのは困難だから、議員立法でお願いしたいと言っているのです。しかも、内容の点でも、第三者監視・評価組織が機能するために不可欠な要素を骨抜きにしたものを提案しようとしています。

 不可欠な要素とは、厚生労働大臣の諮問がなくても委員会が自ら発議して審議できる権限、広い調査権限、組織を支えるに相応しい能力のある事務局の設置などです。このどれひとつ欠けても第三者監視・評価組織は、最終提言が求めた監視・評価活動をすることはできません。

 一連の動きをみると、「本当は創設したくない。でも、どうしても創設しなければならないのであれば、限りなく普通の審議会にしてしまいたい。」という意図が透けて見えます。

 障害者自立支援法でも、政府は、原告団・弁護団と障害者自立支援法を廃止することを基本合意書で約束し訴訟を和解で終結させたにもかかわらず、今国会では、障害者自立支援法を廃止することなく、一部改正法案を提出するという対応をしました。これについて多くの集団訴訟の弁護団が共同の抗議声明を出しています。

 当会議が情報公開訴訟に取り組む薬害イレッサ訴訟における和解つぶしの下書き提供問題も、根は同じです。

 被害者は踏みにじってもいい、約束は破ってもいい、抗議されても無視すればいい。そんな文化を根付かせてしまうかどうかの分岐点にいるように感じます。

 約束は守る、うそはつかない、そういう当たり前のことを、繰り返し求めていきたいと思います。

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