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 薬害イレッサ訴訟において、東京・大阪両地裁が被告国とアストラゼネカ社の責任を認める和解勧告を発したのに対し、厚労省が関係学会に働きかけて和解勧告を批判する見解を公表させた、薬害イレッサ「下書き提供」事件。その関連資料を情報公開請求したところ、文書のほとんどの部分が不開示(黒塗り)とされたため、情報公開請求訴訟を提起したことについては、本紙38号(※)でお伝えしたとおりです。
       
 この訴訟手続の開始後、厚労省は、一部の黒塗りを外した文書を新たに開示してきました。

 情報公開法は文書の開示を原則としているので、訴訟では、黒塗り部分が法律で定めた不開示事由に該当することを、被告国が主張立証しなければなりません。そのため、不開示事由該当性をどうしても説明できない部分を、やむを得ず開示したのです。

 もし訴訟を提起しなければ、これらの部分も不開示のままでした。ここにも、厚労省の隠蔽体質が表れています。

 写真は、新たに開示された文書の一例です。当初の開示では表題も含
めてすべて黒塗りされていましたが、新たな開示によって、これが『アタックリスト』と題された、厚労省の要請先と進行状況をまとめた表であることが分かりました。そして、被告国による文書内容の説明から、この表に記載された要請先には、学会だけではなく、患者団体や独立行政法人、その他の専門家団体なども含まれることが明らかになりました。

 このように、学会以外の団体等にも広く働きかけを行っていた事実を、厚労省はこれまで隠し続け、今なお、具体的な団体名等を隠し通そうとしています。

 和解勧告については、日本骨髄腫患者の会、独立行政法人国立がん研究センター、日本病院薬剤師会堀内龍也会長なども見解を公表しています。これらの関係者に対する働きかけや下書き提供の有無についても、厚労省は具体的事実を明らかにすべきです。
     
 このような不当な情報隠蔽を許すことはできません。是非多くの方の法廷傍聴をお願いいたします。
(裁判の日程は随時ホームページでご案内します。)

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