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 薬害肝炎原告団・弁護団は、国との間で、2008年1月、基本合意を締結したが、この基本合意に基づいて、「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」(検証委員会)が設置され、同委員会は、2010年4月、「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」をとりまとめて公表した。

 この最終提言には、医薬品行政について、新たに、監視・評価機能を果たすことができる第三者性を有する機関を設置することが必要であると明記されている。

 第三者組織は、当面、第三者組織の活動の独立性の確保に万全の措置を講ずることを前提として、厚生労働省の内部に設置される委員会・審議会(国家行政組織法第八条に規定する委員会)とすることが提言された。そして、第三者委員会の活動の独立性を確保できるように、既存の審議会等と異なる新たな仕組みを作る必要があること等が求められていた。

 原告団・弁護団は、2010年6月18日、基本合意に基づく厚生労働大臣との定期協議を行ったが、長妻大臣(当時)は、第三者組織について平成24年の通常国会に法案を提出することを約束していた。

 この法改正について審議するため、厚生科学審議会に医薬品等制度改正検討部会(検討部会)が設置され、2011年3月22日には第1回の部会が開催された。ところが、部会では、第三者組織とは直接関連のない、ドラッグラグ解消等の説明に終始した。

 法改正への方向性が見えない中、原告団・弁護団は、7月8日、細川大臣(当時)と定期協議を行い、大臣は、第三者組織について「来年の通常国会への改正法案提出を行い、正式な第三者組織の設置を確実に進めていくこと」を確約した。ところが、それ以降も事務方の対応は改まることはなかった。

 結局、第三者組織について本格的な議論ができたのは、部会の終了間際である第9回(12月16日)においてであった。

 この間、事務局からは、審議会を増やさないとする平成11年閣議決定を理由に、第三者組織を厚生科学審議会の中の一つの部会にするという案が示され、大臣協議における約束等を指摘しても、なかなか撤回されない状況が続いた。

 しかし、検証委員会元委員18名の連名による意見書が提出されたり、原告団・弁護団による国会議員等への働きかけがあったりして、ようやく事態は好転し始めた。

 最終的に検討部会は、「薬事法等制度改正についてのとりまとめ」を2012年1月24日に公表したが、その中において、第三者組織について「法律に根拠を有する独立の組織という形」をとることが明記されるに至った。

 上記の通り、厚労省の第三者組織への抵抗には根強いものがある。

 部会報告書は、厚生科学審議会に提出され、通常は、形式的な審議を経て、そのまま厚生労働大臣に提出されると言われている。しかし、この件に関しては実際に厚労省が法案を提出するまで、引き続き注視が必要である。

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