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 2009年10月、子宮頸がんの原因とされているヒトパピローマウイルス(HPV)への感染及び感染後の発症(がん化)を予防するワクチン(HPVワクチン)が厚生労働省より認可され、日本国内での販売が開始されました。現在、厚生労働省厚生科学審議会予防接種部会は、同ワクチンも含む8種類のワクチンについて、予防接種の法制化、接種費用の国あるいは地方公共団体による助成などを検討しています。
 HPVワクチンの予防接種化(公費助成)に関しては賛否両論あります。薬害オンブズパースン会議では、こうした状況を踏まえ、HPVワクチンの接種を検討されている方が知っておくべき基本的で重要な情報は何か、「接種希望者の自己決定権の確保」という観点からHPVワクチンの情報を整理・検討し、2010年11月16日、本見解をまとめました。
 HPVワクチンが予防効果を発揮するのは接種者の7〜8割に対してで、残り2〜3割には、ワクチンを接種しても予防効果が発揮されない可能性があります。このため、子宮頸がんによる死亡リスクを回避、減少するためには、HPVワクチンを接種しただけでは十分ではなく、従来同様、子宮頸がん発見のための定期検診を受診することが必要不可欠です。しかし、ワクチンを接種した場合、「ワクチンを接種したのだから大丈夫だろう。」と考えがちです。このため、ワクチン接種によって定期検診の受診率が下がり、かえって子宮頸がんによる死亡等のリスクが上昇することも懸念されます。
 接種希望者の自己決定権を確保するためにも、HPVワクチンの有効性と安全性に関する情報を十分に提供する体制を構築すると同時に、定期検診の受診率向上に向けた取り組みが必要不可欠です。本見解を踏まえて、国民への十分な情報提供体制、定期検診の受診体制が築かれることを望みます。

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