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 「ナショナルレセプトデータベース」とは、現在、各医療機関が個別に管理している診療記録やレセプト情報を、電子化したデータベースとして国が一元的に管理・運用するというもので、2011(平成23)年度を目処に構築することが予定されています。
 「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」は、このデータベースを、医薬品の使用状況の把握や有害事象との関連などの検討、副作用被害が発生した際の追跡調査や医薬品を使用した本人への告知等の利活用に向けた基盤整備を提言していました。この提言を受け、そのあり方等を研究・検討するために「医薬品の安全対策等における医療関係データベースの活用方策に関する懇談会」が設置され、今年7月、同懇談会がまとめた、「電子化された医療情報データベースの活用による医薬品等の安全・安心に関する提言(案)(日本のセンチネル・プロジェクト)」に関し、パブリックコメントの募集があり、当会議も意見書を提出しました。
 意見の概要は、提言案には、レセプトデータベースの医療安全対策への使用を「目標」と位置づけ、その具体的な活用方法まで示していた従来の姿勢から大幅に後退した内容となっている等大きな問題があるため、薬害肝炎検証再発防止委員会の提言の趣旨に則り、「ナショナルレセプトデータベースを、センチネル・プロジェクトの『目標』と位置づけ、個人情報保護との調和を図りつつ、医薬品等の安全対策に向けた積極的活用のための課題の整理と具体的な制度設計の提示を行うべき」とするものです。
 その後開催された懇談会では、当会議の意見やその他のパブリックコメントも踏まえて、若干ですが提言内容が改善されました。しかし、重要なのは、この提言の趣旨が具体的な制度設計にきちんと反映されるかどうかです。今後も国の動向を注意深く見守っていく必要があると思います。

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