閉じる

 2009年10月21日付で、厚生労働大臣とグラクソ・スミスクライン株式会社に対し、「抗うつ剤パキシル錠の妊婦への使用に関する要望書」を提出しました。
 パキシル錠は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれる一群の抗うつ剤の1つで、日本でも大変広く使用されています。
 このパキシル錠を妊娠初期に妊婦が服用した場合、胎児に先天異常を起こす危険性(心房中隔欠損や心室中隔欠損のリスクが1.5倍増加)があり、妊娠20週以降にパキシルを含むSSRIを服用した場合、新生児薬物離脱症候群及び新生児遷延性肺高血圧症という大変重篤な副作用のリスクが増加するというデータがあります。
 この命に関わる重大な副作用については、米国ではFDAから度々注意喚起が行われて添付文書が改訂され、企業に賠償を命じる判決が出たことも話題となりました。
 これに対して、日本では危険性が十分に知られていません。日本の添付文書にもこの副作用に関する記載はあるのですが、「警告欄」ではなく目立ちません。
 また、注意喚起の内容も不十分です(この点は米国の添付文書も同じです)。現在の添付文書では、「妊婦または妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ本剤を投与すること」と記載されていますが、患者が妊娠に気づいたときには、先天異常のリスクの高い妊娠初期を過ぎている可能性が十分にあるのです。
 また、パキシルは急に止めると離脱症状が起きますから、気づいたからといって簡単に止めることはできません。従って、「妊娠可能な患者」に対する使用を原則として禁止すること、やむを得ず使用する場合でも、患者にリスクを十分説明し同意を得ることが必要です。そのためには、単に医師がみる添付文書の改訂では不十分で、患者の方々に十分に情報が行き渡るような対応が必要です。
 また、厚生労働省に届けられたパキシルの副作用の中にある死産や流産などとの関係も気になるところです。いずれにしても実態の調査が必要です。
 そこで、薬害オンブズパースン会議は、.僖シルの添付文書の改訂、患者がそのリスクを理解できるような患者向けの説明文書の作成と交付、実態調査を求めています。

閉じる