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●再審査期間の延長とその目的
 2007年4月、新薬の再審査期間が従来の6年から8年に延長された。その目的は『安全対策の更なる充実強化』とされているが、これは建前であり、その実質は先発医薬品の保護にある。すなわち、事実上、再審査期間は後発医薬品(ジェネリック)を市販できず先発医薬品が市場を独占できる期間として機能しており、期間延長は国内外の先発医薬品メーカーが政府に要求してきたものなのである。
●期間延長でイレッサが『延命』?
 この期間延長で、抗がん剤イレッサでは『安全対策の強化』に全く逆行する事態が生じている。
 イレッサは、2002年7月、抗がん剤の特例により第響衫彎音邯海泙任侶覯未鬚發辰鴇鞠Г気譴拭そのため、承認後に延命効果を確認するための第形蟷邯海鮃圓Δ海箸承認条件とされたが、イレッサは海外での第形蟷邯海納 垢髪簗晋果の証明に失敗し、承認条件の試験として国内で行われた第形蟷邯海任皹簗晋果を証明できず、現在に至るまで日本人での延命効果を証明する第形蟷邯碍覯未得られていない。他方、イレッサが承認直後から急性肺傷害・間質性肺炎の副作用により多数の死亡者を出したことは周知の通りであり、2007年3月末までに706名もの死亡例が報告されている。
 このような状況から、薬害イレッサ訴訟の国側証人である国立がんセンター東病院の西條長宏医師も、イレッサの有用性は「統計学的には証明されていない」と証言した。したがって、当初予定されていた今年7月に再審査を迎えればイレッサの承認取消は避けがたいものと思われたが、2010年7月までの再審査期間延長により『延命』されたのである。
●再審査期間延長の問題点
 そもそも、有効性・有用性を確認するための承認条件試験はできる限り速やかに行われるべきであるのに、何ら実施期限が設けられていないことに問題がある。その上、きわめて緩やかながら事実上の実施期限となっていた再審査期間が延長されれば、有用性の不確かな薬がそれだけ長く使い続けられることになるのである。
 近年、新薬承認が迅速化される一方で、承認条件が付されるケースが増えている。イレッサ以外の薬でも再審査期間延長の弊害が現れるおそれは強く、注意が必要である。

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