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医薬品評価における利益相反(利害衝突)問題とは、製薬企業との間に経済的関係のある専門家が評価に加わった場合に、医薬品の正しい評価という公益と評価者の経済的利益(私益)が相反(衝突)するため、公益を軽視して私益を優先させるおそれのある状態をいいます。
 経済的関係には、製薬会社の株や当該医薬品に関する知的財産権の所有のような直接的な衝突の他に、製薬会社から研究費助成や講演謝金を受けているような間接的衝突(直接的には製薬企業の利益と公益が衝突)もあります。
 産官学連携を推進する国策の中で問題になりつつ、欧米では米ペンシルバニア大学病院における臨床試験(1999年)を、日本でも大阪大学病院における臨床試験(2004年)をきっかけに、医薬品分野における利益相反問題への議論が活発化しています。
 現在、利益相反問題については、厚労省に2つの会議(*)が発足して検討されていますが、この問題を産官学連携推進の中で捉えようとしています。
  *「厚生労働科学研究における利益相反に関する検討会」(厚生科学課)と「審議参加と寄付金に関する基準策定ワーキンググループ」(薬食審薬事分科会)
 しかし、当会議は、くり返されてきた薬害史の中で、その原因として指摘されてきた産官学の癒着構造現象の中で捉えるべきと考えています。
 加えて、近年、製薬会社が積極的に展開しているマーケティング戦略(*)の一環としての利益相反問題と捉えています。
  *このマーケティング戦略は、”袖い鼎り(medicalization)∪賁膕箸諒き込み E按譴靴神訶噌告、によって構成され、利益相反問題は△良垈槌鯏現象なのです。
 当会議は、2004年後半から、ホームページ上の「注目情報」において、この利益相反問題に関する世界中の情報を紹介してきました。
 また、ゲフィチニブ(肺癌治療薬イレッサ)検討メンバーやタミフル(インフルエンザ治療薬)研究班メンバーについて、製薬企業との経済的関係の開示を求めてきました。
 今後も厚労省、製薬企業団体、医学会等への働きかけを行う一方、「病気づくり」や「宣伝広告」に対しても警告を発してゆきたいと考えています。
 最後に、レイ・モイニハン他「怖くて飲めない〜薬を売るために病気はつくられる Selling Sickness」(ソニーマガジンズ、訳本 2006年)のプロローグの一節を引用させて頂きます。
「30年ほど前、世界有数の製薬会社メルクの最高経営責任者であったヘンリー・ガズデンの夢は、チューインガムを売るように、健康な人々に薬を売ることだった。そんな時代がくれば、メルク社は『あらゆる人に薬を売ることができる』ようになるだろう。それから30年の月日が流れ、故ガズデンの夢は実現した。」
 利益相反問題とのかかわりを知りたいものです。

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