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 厚生科学審議会の医薬品販売制度改正検討部会が、一年半にわたり23回にも及ぶ異例の長さで審議を重ね、ようやく昨年12月に報告書を提出した。厚生労働省の言葉を借りて言えば、この検討会は「薬学のみならず、経済、法律の専門家、それから薬害被害者や一般消費者、販売業界関係者を含め、幅広い分野の人たちが委員に名を連ねて、一般用医薬品販売の在り方そのものの全般的な見直しを厳格におこなった」ということだ。
 また、この部会の下には、医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容に関する専門委員会が設けられ、ここでは医薬品のリスクを評価し、適正な医薬品選びの情報提供の在り方について熱い議論が繰り広げられた。
 この数年を振り返えれば、厚労省は内閣府から規制緩和推進を度々迫られ、その度に「医薬行政は消費者の利便性からではなく、生命健康の保護の視点が必要だ」とし、幾度も規制緩和の動きをかわしてきた。しかし、規制緩和推進からの軋轢は強く、段階的には医薬品の評価の見直しをさせられ、これまでに500品目以上もの医薬品が医薬部外品に移行させたが逃げ切れず、不本意ながら医薬品販売の在り方全般を見直すという経過を辿った。検討会の開催時には、山のように資料が積み上げられ、厚労省の検討会への意気込みを随所に感じる展開だった。
 その報告書は、副作用情報の収集などについては、十分に対策を提案しきれていない不十分な項目もあったが、これまでの医薬品販売にない新たな仕組みを提案するなど、それなりに評価できるものだった。
 簡単に概略を述べると、医薬品を購入する消費者の視点に立って、全体を見直すということが貫かれている。具体的に項目を挙げると^緻品の適切な選択や適正使用のための情報提供や相談応需の整備 医薬品を販売する専門家の資質を確保するための専門家の新設 専門家でなくとも一定の医薬品ごとのリスクの程度の目安になるような医薬品の分類と陳列、外箱の表示 づ堝刺楔や関連業界団体に苦情受付窓口の設置など、新たな仕組みを提案している。
 厚労省が主体的に取り組んだ検討会の報告書を受けて、薬事法が改正されるのだから期待できる。だから、厚労に改正案を見せてくれと要求しに行く足も軽やかになったが、結局、厚労の担当者から受け取る前に厚労省のHPに改正案が掲載され、それを怪訝に思いながらダウンロードした。
 待ちに待った薬事法改正案を手に取り、検討会の論点整理で手間取った箇所を重点的に読んでみた。「おぉ、なかなかよく出来ている」と感激しながら、難しい法律用語が並ぶ文章に目を凝らした。
 確かによく報告書を吸い上げていた。ただ、ひとつの項目を除けばという落ちがなければ、厚労省は薬事行政の歴史に名を残したかもしれない。落ちというのは「配置薬販売については、経過措置によって事実上移行しなくてもよい」としたのだった。
 誰のための何のための検討会だったのだろう。消費者は行政の対象になり得ないのだろうか。

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