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2005年1月20日から3月24日まで4回にわたり、厚生労働省主催による「ゲフィチニブ検討会」が開催されました。
そもそもこの検討会が設置されたのは、2004年12月に、アストラゼネカ社からISEL試験結果が発表され、イレッサには化学療法歴のある症例においても延命効果がない(2002年発表のINTACT試験では初回治療例において延命効果が認められなかった)ことが明らかにされたことがきっかけでした。市販後約3年の間に、間質性肺炎等の副作用症例1555人、うち死亡例607人という被害が報告され、問題となっている中で、有効性にも疑問を投げかける臨床試験データが次々と明らかにされたのですから、本来ならばイレッサの承認をどうするかが真剣に議論されるはずの検討会でした。しかしふたを開けてみるとその中身は、過去の薬害の歴史に学ぶ姿勢は微塵も感じられないものでした。4回の検討会が公開で行われたことが、唯一評価できるところですが、それだけに問題点の深さがより明確に、公にされるという皮肉な結果となりました。
 まず、今回の検討会委員の人選基準や委員と当該企業との利害関係に関する情報は、全く明らかにされませんでした。過去にも委員の人選基準や企業との利害関係など公表されたことはないといえばそれまでですが、このような不透明性が正当化される理由はありません。
 また、今回の検討会委員および事務局担当者の中には、イレッサの承認過程に重要な役割をはたした人が含まれていました。そればかりか、その厚生労働省担当者が議事に決定的影響を与えるような発言をし、議事への介入、結論の誘導を行うという前段未聞のことが行われました。他にも、最も重要なISEL試験結果の再解析を一人の委員だけに委ね、具体的情報の開示なしに他の委員がその結論を追認する形をとるなど、今回のゲフィチニブ検討会は、検討会の体裁をとりながらも、実質は、使用継続ありきのシナリオを前提とした、イレッサ再承認のための会であったとさえいえます。そこには科学的誠実さも、国民の命と健康に重大な影響を及ぼすことに関わっているという責任感もありませんでした。このような状況を踏まえ、パースン会議は尾辻厚生労働大臣、黒川審議官、平山安全対策課長、およびゲフィチニブ検討会委員各位に対して、この「ゲフィチニブ検討会」に関する意見書を送付しました。詳しくは、ホーム・ページをご覧ください。

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