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当会議は昨年6月に日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患診療ガイドライン2002」に対して公開質問書を送り、高脂血症の基準値や薬物療法の指針に関する問題点を指摘しました。この高脂血症に対して現在最もよく使われているのが、いわゆるスタチン剤です。現在、コレステロール低下剤市場のシェアのほとんどはこのスタチン剤が占め、世界市場では約2.3兆円、日本でも約3000億円市場と言われています。この薬は将来起こるかもしれない脳卒中や心筋梗塞を予防するためにのむものですから、長く、ときには生涯服用し続けることになります。それだけに、特に安全性が重要です。しかし、スタチン剤は必ずしも安全性が確立した薬とは言えません。過去にはスタチン剤の一種のセリバスタチンが副作用の問題で市場から撤退していますし、また、ロスバスタチンは、最近副作用問題が米国FDAで取り上げられています。長期的にみたときの、癌への影響もまだ解決されていません。スタチン剤はこれまでに、欧米人男性の心疾患などを低下させるという効果は確認されてきています。しかし、脳卒中に対する効果や女性に対する効果については、欧米でも疑問が持たれていますし、日本人での効果はまだ実証されていません。のむことが本当に予防になるのか、デメリットはないのか、コレステロール低下剤は、リスクとベネフィットをもう一度見直さなければならない薬です。当会議では、日本でも上市が予定されているロスバスタチンを含め、このスタチン剤の問題を検討していく予定です。

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